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将棋には「順位戦」というタイトルがあります。
一部を除く全棋士が、最高位の「名人」を目指して A級からC級2組まで5つのリーグに分かれて 1年間、リーグ戦を戦います。 加藤一二三さんというプロ棋士がいます。 御年68歳。 史上最年少で名人挑戦者になり 「神武以来の天才」と呼ばれた人です。 ネットでも非常に有名な「こだわりやさん」です。 愛称はひふみん。 朝10時から深夜まで戦う順位戦では 昼も夜も必ず同じメニュー(大体うなぎ)を召し上がることが 非常に有名です。 気になったので今年の食事を調べてみました。 ・・・元気だね、ひふみん。 ![]() 今日はB級2組、サッカーで言うところの「J3」最終戦。 かつてはA級=J1でバリバリ勝っていたひふみんも 負けてしまうと、J4陥落の危機というところで追い込まれています。 深夜まで鬼気迫る表情で戦っていらっしゃいます。 68歳のエネルギー、見習いたいものです。 ※加藤九段の詳しいプロフィールはこちら。 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%8A%A0%E8%97%A4%E4%B8%80%E4%BA%8C%E4%B8%89 スポンサーサイト
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いよいよ“将棋界の一番長い日”ですよ。
羽生名人への挑戦権争いは 郷田真隆九段、木村一基八段、佐藤康光棋王の3人に絞られました。 ここはひとつ、郷田-木村の直接対決を木村八段が制し、 佐藤棋王を含めた3者でのプレーオフになると予想してみましょうか。 (ちなみに現在、3月3日の20:30です) 去年は出張先のホテルにいて、BSが入ってたので 深夜の3時まで激闘をこの目で見ることができました。 今年は自宅につき、ネット中継に1ヶ月だけ加入してみました。(¥500) 名人戦棋譜速報 http://www.meijinsen.jp/ さあ。 長い夜のはじまりです。 |
将棋の最高タイトルが「名人」なのは有名です。
「A級リーグ」というトップ棋士10人の年間リーグ (サッカーでいうところのJ1) でトップに立った者だけが名人戦7番勝負に挑戦できます。 ※ちなみにプロデビューすると最初に所属するのはC級2組というリーグで J1、J2・・・で数えていくと「J5」になります。 つまりどんな天才でも、デビューしてから5年は名人に挑戦できません。 A級は10人総当たりですから年間9戦。 8回戦と9回戦は同日一斉対局で行われ、 「栄えある名人挑戦者」と「J2への陥落者2名」が同時に決まる9回戦は 通称「将棋界の1番長い日」と呼ばれます。 本日2月4日は8回戦の一斉対局。 例年なら“少しだけ盛り上がる日”なのですが、 今年はずいぶんと様子が違います。
簡単に言うと、最後までわからない大混戦。 「降級候補」と目されている人でも 2連勝すればプレーオフにもちこめる可能性がわずかに残っている。 「上位争い」をしている人でも 2連敗をすれば、星取しだいで陥落してしまうかもしれない。 ものすごい緊張感の中で、きょう8回戦が行われているのです。 つまり今日は将棋界で2番目に長い日。(・・・たぶん) ちなみに今年の名人戦は大きく様変わり。 開催地を「公募」して、観光地なども積極的に採用した結果、 第2局-熊本城 第4局-高野山金剛峰寺 第6局-東本願寺 という将棋にお似合いの「歴史ある舞台」が用意されています。 羽生名人と雌雄を決する挑戦者は果たして? ・・・以上、将棋マニアしか喜ばないようなエントリでした。 ちなみに私が挑戦者として期待しているのは、佐藤康光棋王! 昨年のA級リーグ、陥落寸前の最終局(BS中継)で見た “鬼の形相”が今でも脳裏によみがえってきます。 |
私が多くを語るより、この2枚の写真を見てください。
毎日jp-王将戦中継ブログより転載させていただきます。 http://mainichi.jp/enta/shougi/ohshoblog/2009/01/1130.html ![]() ![]() 徳島・大塚美術館での対局。 ・・・見に行きたかったなあ。 |
ついに竜王戦7番勝負が決着しました!
(日刊スポーツから引用) 渡辺竜王3連敗後4連勝羽生破り永世竜王 羽生信じられない失速、永世7冠逃す 大逆転の渡辺「信じられない」 最強の挑戦者・羽生名人を相手に 「史上初の3連敗4連勝」を成し遂げた渡辺竜王が みごと「初代・永世竜王」の座を獲得しました。 おめでとうございます! 緊張感高まる第7局でも 渡辺竜王は6局目と同じ「18手目・△5三銀右」に始まる積極策を採用。 中盤以降は形勢が何度も入れ替わる大熱戦となり、 最終的にプロ棋士の検討陣に「もはや訳が分からない」とまで言わしめました。 前回のエントリでも書きましたが、もはやここまでくると実力云々ではなく 「勇気と冷静さのバランスを保ちながら、自分の将棋を貫くこと」が大切なのかな?と。 そういう意味では、今回の竜王戦第7局は “世代交代を決める1局”でもなければ、 “羽生の現代将棋VS渡辺の未来将棋”でもなく、 「自分を信じられる王決定戦」だったのかな?と感じました。 個人的には、渡辺竜王が60手目△5二飛に費やした67分と 羽生名人が64分を投じた63手目の▲2三歩。 きっとお互いが「自分が有利なはずだ・・・信じるんだ、信じるんだ!」と 自分に言い聞かせていたんだろうなぁ・・・と想像すると、たまりませんね。 感動の一言しかありません。本当に良いものを見せていただきました。 最終的には7局を通じて 「若い渡辺が攻め、ベテラン羽生が受ける」という展開は同じでしたが 最初の3局と後半の3局とでは、全く印象が違います。 特に序盤20手目までの時間の使い方。 渡辺竜王本人が 「最初の3局は、指し手や封じ手を含めて消極的な戦い方だった。 相手が羽生さんということもあって引き気味に戦ってしまった。 4局目からは相手を恐れずに積極的に行こうと決めた」 と語っているように、最初は1手1手、本当に慎重に (つまりは自分を信じ切れていない証拠なのですが) 手を選んでいた印象でした。しかし最後の3局は序盤が吹っ切れてました。 渡辺将棋がこの後どのように変貌を遂げるかは分かりませんが、 少なくとも私は「人生における積極策の大切さ」を学んだような気がします。 ・・・ただ渡辺さん。 きっと来年の竜王戦で、この方はリベンジにやって来ますよ! そのときが本当の意味での「世代対決」の始まりです。 将棋界の龍と虎。 2人の長い長~い戦いは、これからも続くのです。 |
またも将棋のお話です。
10月に開幕した将棋「竜王戦7番勝負」は 本日第6局の1日目を迎えています。 この7番勝負は 「ワールドシリーズにおける松坂VSイチローのような夢のカード」 なのでぜひ注目して下さいねというエントリを以前書きました。 【過去エントリ】羽生VS渡辺~かくして歴史的勝負の幕が上がる http://anaguma1.blog98.fc2.com/blog-entry-212.html 第1局(パリ)は、誰もが“渡辺有利”と見た戦略を 羽生名人の「大局観」が見事に打ち破るという予想外の展開。 そこから2局目、3局目と 「渡辺が攻めるも、羽生に完全に切らされる」構図が続き、 気がつけば24歳の若き竜王は 「開幕3連敗」という窮地に立たされました。 ところが第4局。 渡辺竜王本人もブログで 「なぜ自分が勝ったのか分からない」と語ったほどの すさまじい終盤戦の末に、ようやく竜王が1勝し 第5局は(私にはあっけなく感じるほど)羽生名人に良いところが見られず 現在、渡辺2勝、羽生3勝というところを迎えています。 頂上対決、世代交代、初の永世竜王・・・ いろんなキーワードがこの勝負を盛り上げていますが 「初の3連敗4連勝」が実現するかどうかにも興味が集まっています。 というのも、野球日本シリーズでは「3連敗のあと4連勝」が何度かありますが 将棋では、トータル200回以上「7番勝負」が行われているにもかかわらず まだ1度も大逆転が実現していないのです。 勝負の流れから見ると、●●●○○となった この第6局こそが渡辺竜王、ひいては渡辺明という一棋士の人生にとって ものすごく大きな勝負になるのだろうなぁと思います。 普通なら、慎重にじっくりとした戦いを選びがちなところですが 竜王は序盤の18手目で自ら「急戦」に飛び込み、難しい局面を選びました。 この選択「勇気ある英断」か、はたまた「若さゆえの暴挙」か? ・・・結末は将棋の神様だけが知っています。 第21期竜王戦 中継ページ http://live.shogi.or.jp/ryuou/ ところで。 将棋には「先手」と「後手」があります。 プロの対局データ数千局の統計では、先手の勝率は5割3分。 少しだけ先手が有利なのです。 タイトル戦になると、先手の勝率が6~7割という統計もあるため 7番勝負では、6局目まで先手後手を交互に行います。 テニスの「サービスゲーム」のようなイメージですが、 いかに後手番でブレークゲームを作るかどうかが7番勝負を左右します。 渡辺竜王はタイトル戦の前のインタビューで 「最近は後手番でかなり苦戦していて、悩んでいる」と正直に答えていて (まあ、このあたりの率直さが彼の魅力でもあるのですが・・・) 今回の第6局は後手番。まさに正念場です。 ここを乗り切れば、第7局は「振り駒」といって、 コイントスのようなもので先手後手を決めるルールですが、 もし劇的に7局目が来週おこなわれる場合、そんな些細な有利不利よりも 「いかに平常心と勇気のバランスを保ちながら、自分の将棋を貫けるか」 が大きな勝負の分かれ目になるのでしょうね。 2ヶ月間「情熱大陸」が密着しているとのこと。 こちらのOAも楽しみです。(12月28日放送という情報もあります) |
将棋に興味がない方もぜひ知ってほしい出来事。
第21期竜王戦七番勝負が開幕しました。 将棋の最高峰は「名人」ですが、 「竜王」はそれと並ぶビッグタイトルで、賞金は最高額です。 今回は前人未到の5連覇をめざす渡辺明竜王に ことし永世名人の資格を得たばかりの羽生善治名人が挑む 将棋界待望の「ゴールデンカード」が実現しました。 将棋に詳しくない方でも羽生さんの名前は知っていますよね。 野球に例えるならイチロー。(ほぼ同世代) 彼の出現で業界そのものが大きく変わった!と言える存在です。 そこに登場するのが若き天才・渡辺明。 19歳で羽生とタイトルを初めて争った王座戦は、 さしづめ「松坂VSイチロー初対決」のような歴史的名勝負でした。 結果は羽生の3勝2敗でしたが、堂々とした戦いでした。 将棋の神様はそれ以降5年間も2人のタイトル戦を実現させず、 その間に渡辺は竜王位を4連覇。 そして今年。 通算6回の竜王位獲得を誇る羽生がようやくの挑戦を果たし、 この七番勝負「どちらが勝っても初めての永世竜王誕生!」という 将棋界にとっても確実に歴史に残る戦いが実現したのです。 38歳の羽生と24歳の渡辺。 32歳の私は少しだけ羽生世代に近く、つい「羽生有利」と考えてしまいがちです。 私がもっとも将棋に熱心に取り組んでいた中学生の頃 「天才・羽生少年」が登場しましたが、 本当に強烈なインパクトで、子供心に熱狂したのを覚えています。 しかし、15年ほど将棋から離れていた私に ふたたび情熱を灯させてくれたのは、棋界の新しいリーダー・渡辺明。 彼のブログを読んだことも大きな衝撃でした。 というわけで将棋の神様がどちらに微笑むのかはさておき、 私としては2人の歴史的勝負を1つでも多く見たいので 「フルセット=どちらかが4勝3敗」までもつれて欲しいなと そんな気持ちで見つめています。 第1局はさきほど午後4時、フランス・パリで開幕しました。 日本とは時差がありますが、 ブログの大家で無類の将棋好きでもある 梅田望夫さんが、今回もリアルタイム観戦記を書いてらっしゃいます。 6/11のエントリ「驚愕の作文スピード~梅田望夫氏のWeb将棋観戦記」 でも紹介しましたが、梅田さんの文章は将棋を知らない方でも その魅力が十分伝わる良文です。ぜひお読みください! 梅田望夫氏、竜王戦第1局を語る (竜王戦中継Plus) http://kifulog.shogi.or.jp/ryuou/1/index.html |
今週もしっかりと仕事ができました。
感謝。 今さらながら 「プロフェッショナル 森内俊之VS羽生善治」の感想を。 もっとも印象的だったのが 2人とも「ひたすら最善手を追い求め続ける」という姿勢でした。 まるで哲学者か聖人か、求道者のように。 ※将棋に詳しくない方は 「最善手=ベストチョイス」と置き換えてください。 ただその一方で 「常に最善手を指せば勝てる」と言えるほど、勝負って単純なのだろうか・・・? という疑問も感じました。 そういえば、かつての名人・米長邦雄(翁)は 著書「人間における勝負の研究」の中で 人生においては、最善手を指すより 「悪手を指さないこと」がもっと大切だ と書いています。
初めは正直なところ、米長さんの印象が良くない上に この本に書いてあることもピンと来ませんでした。 しかし、2度3度と読み返すうちになるほどと思う部分が増えてきました。 たとえば「70点の手」と「90点の手」があるとして、 90点と評価されるのは「他人の意見やいろんな選択肢を探って 時に自分を否定しながら、泥にまみれて見つけた手」であって 「独善的」であることは悪である、と私はずっと思い込んでいました。 しかし最近 「他善的」であることが必ずしも最善手を生むわけではないのかも? と感じるようになってきました。 他人を尊重することは大切だけれども、 他人の考え方を必要以上に踏襲したり、自分の思考を止めてしまうと 結果として自分も他人も「望むべき未来」を手にできないかもしれない。 それよりは、自分の「最善」を突き詰め、万難を排して実行し、 生じるデメリットは全て自分が甘受する。 生じるメリットの方は、なるべく他人と共有し、時にはまるまる与える。 そんな生き方をすべきではないのか・・・!と思うのでありました。 何が言いたかったのかよく分からない気もしますが 金曜日の夜と言うことでお許しください。 皆さん、良い週末を・・・。 |
先週から会議・打ち合わせの「嵐」。
合間で次の資料づくりとネタ探し。 悩む。うめく。ひらめく? 今年の夏はずっとこの繰り返しが続きそうです。 1歩ずつ前に進んではいると思うのですが、 ため息が増えつつある今日この頃。 けさの3時間のミーティングを終えて、 昼休みに息抜きにブログを書いてます。 ぜひ告知しておきたい番組がひとつ。 「プロフェッショナル 仕事の流儀」(NHK総合) 7月15日(火)午後10:00~10:58
私はビデオ予約ずみです。 個人的には天才肌で光の道を歩んできた羽生さんより 異才を持ちながら何らかの要因で陰の道を歩んでしまった森内さんに 魅力というか親近感を感じてしまいます。 将棋好きな方も、そうでない方もぜひ! |
職場の昼休みはだいたいニュースサイトを見ているのですが、
これは興味深い実験。 【棋聖戦・梅田望夫氏観戦記】(1)桂の佐藤棋聖、銀の羽生挑戦者 http://sankei.jp.msn.com/column/7041/clm7041-t.htm 何が興味深いかというと ・将棋はアマでも「将棋観戦」はプロ級(!)の梅田さんの文章 ・「観戦記は後日したためて発表されるもの」という常識への挑戦 ・リアルタイムで1日4本のコラム発表、というスピード感 とりわけ驚いたのが、その作文スピード。 あらかじめネタは頭の中で仕込んでいたとはいえ、 おそらく梅田さんは、実際に対局が始まってから作文し直しているはずです。 (と文章から推察します) 1本目のコラムが5ページで、今日中に4本。 「さらに書くかも」と自身のブログには記されています。 私も文章を書くスピードは遅くない方だと自認していますが、 やはりWeb空間で暮らすエキスパートはリテラシーが違う!と ひたすら驚くのでありました。(私ももっと努力しなければ) というわけでとり急ぎご紹介。 ぜひリアルタイムでご一読を! 私は仕事中なので 帰宅してから読んで、また感想を書きます。 *** 6/11 PM8:15 追記 *** 佐藤康光棋聖に羽生善治挑戦者が挑んだ第79期棋聖戦第1局は 後手番一手損角代わりの出だしから 先手の攻めをしのぎきった佐藤棋聖が初戦をものにした。 梅田さんの観戦記は現在4本がアップされていて 今は事前告知していた「終局後の1本」をしたためていらっしゃる所だろう。 1本目は、本人がのちに明かしたように 事前の「予定稿」にライブレポートを挿入したものだったらしいが、 2本目以降も本格的というか、格調高めの文体の中に 少しずつ本人や関係者のブログ・著書の引用を織り交ぜて、 いわゆる「アルファブロガーっぽい独自の観戦記」が構成されていた。 ちょっと予想外だったのは、梅田さんの書く文章そのものは ふだんそれでご飯を食べている観戦記者のそれと さほどの差異を感じなかった点だ。 もっと素人っぽい、既成の概念(観戦記らしさ)を打ち破るものを 1本目のコラムからは想像していた。 「これがあと3本読めるのか・・・」と内心ワクワクしていたのも事実だった。 でも梅田さんは、金子金五郎のヘヴィヴューワーであり、 体の中に「格調高い観戦記とは?」という文体が染み込んでいたからこそ 初めての経験であるにもかかわらず、プロはだしの記事が書けた という解釈も成り立つ。これこそが「素養」というものだろうか? いずれにせよ、この文章量とライブ感に、観戦記を書くに値する素地を加えた オリジナリティあふれる観戦記が読めたのは、エキサイティングなことで 最後の1本も含めて、十分に意義ある実験だったのではないか?と 単なる将棋ファンの1人としては素直に拍手を送りたい。 |
ロッテの渡辺俊介投手が書いた
「アンダースロー論」(光文社新書)を読みました。 びっくり。 新書なのに、変化球の握りやフォームのポイント、 アンダースローゆえの技術論が40ページ以上も続きます。 それも通りいっぺんの建前を書き連ねるのではなく、 ひとことで言えば「企業秘密」をビシッ!と書いているのです。
ちなみにこの本が書かれたのは2006年の秋。 05年春にWBCで大活躍し、そのシーズン15勝4敗の好成績をおさめながらも 06年シーズンは不調で6勝9敗と負け越した、その秋です。 えっ? こんなこと書いたら、来シーズン余計に試合やりにくいでしょ!? とシロートながらに心配してしまいます。 なぜ彼は自分の技術と想い、戦略を詳細にしたためたのでしょう? 同じ疑問が(奇しくも同じ苗字である) 現代将棋の申し子・渡辺明竜王にもあてはまります。 プロですから、たとえばインタビューや解説で 自分の技術・想い・戦略を披露することは、誰だってあるでしょう。 しかし彼は「渡辺明ブログ」で、手の内を大きくさらけ出しています。 きのう(5月16日)の対局では、竜王は負けてしまったにもかかわらず 「どこが作戦負けだったか」「決め手はどこだったか」を 盤面つきで詳細に解説しています。 彼の凄いところは、勝っても負けても終わってすぐに研究成果を披露し、 時には「こうしていれば良かった」と次への布石まで書くことです。 プロが積極的に情報公開をする目的を、私は以下のようにとらえます。 ①ファンへの意識~ファンあってのプロ。もっと野球・将棋を広めたい ②自己への意識~執筆は自己を成長させる。もっと技術を高めたい ③相手への意識~相手は必ずこれを読むはず。逆に意識させてやろう 俊介投手からは「アンダースローの投手が増えて欲しい」という願い、 竜王からは「新時代の将棋のあり方は自分が切り開くんだ」という覚悟が それぞれ見え隠れします。 1対1の勝負の世界では「相手に自分の特徴を意識させる」ことで 苦手意識を植えつけたり、裏をかいたり、自滅させたり、と さまざまな効果が期待できます。 事実、竜王はタイトルを獲る前からブログを続けていますし、 俊介投手は07シーズンを見事、9勝6敗と勝ち越しました。 最後に、少なくとも私はこの本と竜王ブログを読んで、 2人を応援せずにはいられません。 これはプロとして何よりの財産だといえるでしょう。 「情報は発信してこそ、はじめてその価値が増幅する」 ということでしょうか? |
独り言のような、でもちょっと深いお話。
・・・ドキっとしました。 私はここ数年、 「人にインタビューする→思いや問題点をまとめる →新たな形を提示する→周囲の協力を得ながら少しずつ実現する」 という一連の流れを仕事の中心に据えていて、 これはヒアリング能力・構造化能力・ネゴシエーション能力といった 自分固有の能力を発揮しつつ、多くの人の共感も得られる方法ではないか? と、転びながらも少しずつ自信を持ちつつあります。 大まかな部分では、自分なりの計算で成立していると思うのですが ひょっとすると私は 「相手に共感しているフリ」をするのがものすごく上手いのではないか? とこのエントリを読んで、自問自答してしまったからです。 「当事者感覚」が大切だということ。これは言うまでもありません。 すごく分かりやすい例で言えば 「今、この世に奇跡的に存在しているのはまぎれもなく自分自身であり、 いつか自身の意識は途絶え、肉体が停止するのは不可避である」 という生と死に関する当事者感覚を常に持ち続けている人と、 何となく毎日を送っている人とでは、時間の密度が確実に違うと思います。 ※私も4~5年前から意識するようになり、価値観も変わりました。 もっと人間的な感覚で言えば 愛情、熱意、好奇心、さまざまな欲などがあるでしょう。 「ものづくりはついオペレーショナル(処理的)になりがちだけど そこにも当事者感覚、もっと言えば事象との距離を近くすることが必要だ」 という主張はよく分かります。 私自身、せっかく機会あってものを作るからには一球入魂、 できる限り妥協せず、自分が良いと思うものを世に提供したいと思っています。 作る人の好みからはどうせ脱却できないから「自分らしくあろう」と考えます。 でも、そこでふと “自分がニュース取材のインタビューをしていた時のこと”を思い出すんです。 私は相手の話に興味を持っている。なるべくありのままを伝えたい。 しかし客観的に会話を引き出してテープに音声を「記録」するのが自分の仕事だ。 取材時間も編集時間も限られているが、完成度は高くあるべきだ。 そんな条件を満たすために、こんな行動をつい取っている自分がいました。 ・事前に会話を誘導するための布石を打っておく ・収録中、相手がしゃべっている時に、カメラの外で無言でうなづく ・あるいは自分の表情を通して(それとなく)話を変えるよう試みる ・結果として“おさまりの良い”“いかにもそれっぽい”答えを目指す 何が言いたいのかというと、 オペレーションを「オペレーションっぽくしないぞ!」と意識して 徹底的にそれとは違う解を得られるような方法論を追求してゆくと、 それはそれで、結果として “当事者感覚を持っているかのようなフリをした” バイアスのかかったものづくりになってしまう可能性は否定できないよ・・・ ということです。 このあたり「ものづくりに自分の持ち時間を何百時間・何千時間と つぎ込んできた方にしか分かりづらい」ような物言いかもしれませんが、 人は、放っておくとついオペレーショナル=やっつけ仕事になりがちです。 (特に会社組織の中では他人から与えられる仕事の方が圧倒的に多い) 常に「自分を疑う」「人は間違う可能性がある」と言い聞かせながら 方法論(一連の所作)としての確立を目指さず、 「その場その場で考える」クセをつけておかないとダメなんだと思います。 ※ちなみに、ここで問題にしたいのは 編集の恣意性とか自他の不一致とかそういう話ではなくて ものづくりの一つの納まりどころとして「自分が相手に共感すること」を 軸にしている私が「それは虚構じゃない」と信じきってやしません?という危惧ね。 似たようなことは、将棋における考え方に関しても言えるんだと思います。 過去の経験を積み重ねることで、より効率的に最大効果のある解を導き出せるけど それにとらわれすぎると、相手との対話をおろそかにし、結果として読み損なう・・・。 かの羽生先生はこう言ってますね。
ただ、持ち時間に限りがあるからこそ、 「ものづくり」が前進し、成果物が生まれるのだ、というのも私の持論なんですよね。 そういう点では「感覚を疑い続けること」と「限られた時間を有効に使うこと」の バランスをいかに保つかが、永遠の命題なのでしょうね。 <追伸> 最近感じるのは 「サラリーマンの場合、仕事の7割~8割は “意味がない”“どうでもいい”と感じるような仕事かもしれない。 でもそこに対する真摯さを保ち続ける(思考停止しない)かどうかで 残り2割の輝きが違ってくるのではないか?」ということだったりする・・・ |
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