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あなぐまの就職自戦記(16)情報の飢えが疾走を生む
前回、前々回のエントリを要約すると
・ネット世界は私たちに「情報を等しく入手できる環境」を与え、可能性を広げてくれた
・大切なのは情報を「知る」ことではなく「生かす」こと。でもこの手段に“正解”はない

ということを主に書いてきました。

あなぐまは、田舎、しかも離島の出身です。
地元には高校がないため、15歳から島を離れひとり暮らしをしてきました。
父は漁師で、母もふつうの主婦。決してインテリでもなく、裕福な家庭でもありません。
漁師に大切な素質を考慮すると、地元で素晴らしいともてはやされるのは
「運動ができる子」や「声が大きく活発な子」であって、
「本やテレビに興味を持ち、物事を調べたり考えたりするのが好きな子」ではありません。
高校がないくらいですから、本屋さんも当然ありません。(テレビの民放も当時少なかった)
都会に遊びにいくと、必ず3時間4時間と本屋で立ち読みするような子供でした。
学校でイジメに遭うと、父親に「ケンカをしてこそ1人前だ」とけしかけられる始末。
当時は自分のアイデンティティ確立にずいぶん苦労しました。
時には「もっと良い環境があるはずなのに・・・」と出自を恨んだりもしました。
(そんな中両親が自分を大学まで進学させてくれたことを、今はとても感謝していますが)

ところが最近、
「このバックボーンがあるから、今のような考え方ができるようになったのかな?」
と気づかされる本を読みました。
マスコミ志望者の皆さんにもぜひ読んで欲しい
梅田望夫さんの「Web進化論」「Web時代をゆく」の2冊です。

簡単に紹介すると、梅田さんは
シリコンバレーでのコンサルティングやITプロジェクトの経験をもとに
「Web2.0時代をどう生き抜くか」をこの2冊で書いていらっしゃいます。
全てを説明するのはとても難しいので、梅田さんのブログを紹介しておきます。

My Life Between Silicon Valley and Japan
http://d.hatena.ne.jp/umedamochio/

ここでは「高速道路」論を少し引用します。(かなり有名ですが・・・)

これでもかこれでもかと厖大な情報が日々ネット上に追加され、グーグルをはじめとする恐ろしいほどに洗練された新しい道具が、片っ端からその情報を整理していく。いったん誰かによって言語化されてしまった内容は、ネットを介して皆と共有される、よって後から来る世代がある分野を極めたいという意志さえ持てば、あたかも高速道路を疾走するかのように過去の叡知を吸収することができるようになった。これが「高速道路の整備」の意味である。(中略)全体のレベルが上がっていることは間違いない。しかし、多くの人が次から次へとあるレベルに到達する一方、世の中のニーズのレベルがそれに比例して上がらないとすれば、せっかく高速道路の終点まで走って得た能力が、どんどんコモディティ(日用品)化してしまう可能性もある。一気に高速道路の終点にたどりついたあとにどういう生き方をすべきなのか。特に若い世代は、そのことについて意識的でなければならない。

梅田望夫「Web進化論」P214~216を引用


まず、すごく浅い解釈から入りましょう。
就職活動で言うと、1次面接と最終面接の違いも似たような話で説明できます。
序盤の面接には確かにある種のセオリーが存在します。
「こうすれば受かりやすい」というキャリア、論点、話術、ふるまいがあるでしょう。
皆さんはネットの高速道路を使って、短時間でそれを吸収することが可能です。
しかし最後の面接は常識的な答えをしたからOKというわけではありません。
企業が求めるのはオリジナリティと創造性、あなたらしさ(それを紡ぐ表現手法)です。
ここでは、就活サイトで培った常識はかえってマイナスになってしまうかもしれません。

(もっとも競争率の高いマスコミ(テレビ局)就職では、ここまでたどりつくこと自体が
非常に難しいです。だからこそ私も高速道路の一端を担っています)

「高速道路が整備されているのは知っているし、眺めたこともある。
やっぱりマスコミ就職は難しいんでしょ?別に自分はそんな苦労したくないから
ほどほどの準備で受験するよ。受かればラッキー!くらいのつもりで」というあなた。
高速道路は誰だって使えるんですから、精一杯疾走すればいいじゃないですか!
「ネットを見ただけで行動した気になっている」のは、ずいぶんもったいない話です。
「他人の物言い」を丸呑みして「自分の物言い」にしている人はいつか馬脚を表しますが、
「収集→整理→消化→行動」の4ステップを地道に実践する人は着実に成長します。

ただ1つ「自分が高速道路を走っている自覚」がなければ危険だということは強調します。

これは就職活動に限った話ではなく、かつての私も、今の私も意識し続けていることです。
地方局(しかも人員不足)の記者が、取材の下準備に使える時間は豊富ではありません。
電話や文書をあたれば数時間かかる「基礎情報の収集」を
数分で可能にしてくれるインターネットにはずいぶんとお世話になりました。
しかし、それを鵜呑みにしてそのまま記事を書くのはとても危険です。
「大切な情報」は、どんなに些細なことでも口頭やメモでウラを取らなければいけません。
うかつなネット情報の転用で冷や汗をかいたり、訂正を出したことも何度もあります。

情報の入手は大切ですが、それを疑うこともまた大切です。
実は情報というのは、大量に仕入れれば仕入れるほど、
「本当の理解から遠ざかり、誤解に近づいてしまう可能性」も秘めているのです。

たとえばニュースなどの情報から「中国という国、あるいはそこに住む人は信用できない」
という印象を持っている人は多いかもしれません。
しかしあなたが記者だとして「中国籍の○○さんを取材する」という場面で
本人と会う前からそんなバイアスを心に秘めて接し、会話するのはナンセンスです。
(ましてや、そういった方向に意見を誘導するなどもってのほか)
1対1のコミュニケーションはその都度相手を受容し、自分を変容させる必要があります。

梅田さんは「高速道路を降りた先の“けものみち”」という表現を使っていますが
報道取材やドキュメンタリー制作でも、けものみちを切り開く力がとても重要です。
思い描いたストーリー・ロジックどおりに事実は決して進んでいかないからです。
しかしそこには何らかの意味やメッセージが確実にあります。切り取り方はあなた次第。
かつては「情報をたくさん知っていること」が記者・ジャーナリストの一番の能力でしたが、
これだけ情報があふれる時代にあっては、求められる能力は確実に変化していて
「情報の高速道路とけものみちを上手に使い、最短時間で最適なメッセージを紡ぎ出す」
という能力が必須ではないのかな?
と6年の経験の中で感じました。

「才能とは情熱を継続する力である」とは棋士・羽生善治の言葉ですが、
この高速道路とけものみちを疾走するには、渇望にも近い情熱が必要だと感じています。
あまり自画自賛するのは好きではありませんが
「子供の頃にネットがあれば、私の人生は変わっていたのでは?」と私は時々夢想します。
情報格差いちじるしい田舎でもがいていた少年時代の記憶があるからです。
しかし、あの頃の「情報に飢え、希求する経験」があったからこそ、
人生最初の就職先にテレビ局を選び、相手にも選んでもらえたのではないか?
すごく大変な仕事だったけど、喜びを見出しながらチャレンジし続けられたのではないか?
そして退職した後も「情報と人」をキーに物事を考え続けているのではないか?と
梅田さんの本を読んで自分を確認できました。頭を整理してくれた梅田さんに感謝です。

子供の頃は30歳を過ぎたあたりから「確固たる自分」ができあがってくると思ってました。
ところが私は「いつも自分は間違っているかもしれないと思い続ける」傾向にあり、
「世界の行く末や目の前の相手の思いなど、さまざまな状況を判断して
その都度モードを変えながら生き抜く」というのがパーソナリティのようです。
よく言えば適応力が高い。悪く言えば日和見主義・ご都合主義。
そして周囲への感謝を忘れず、1日1日を着実に“可能な限り有意義に”過ごしたいと願う。
こういった姿勢が放送局には向いていたのかなと今になって思います。

ということで「あなぐまの就職自戦記」シリーズは
このあたりでお開きにしたいと思います。

・・・次はどんなこと書こうかな?





続・あなぐま就職自戦記[1]新人の私がそこにいたを読む
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【2008/02/14 22:27】 | あなぐまの就職自戦記 | トラックバック(0) | コメント(0) 
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