【まとめエントリ】⇒初めての方はこちらをどうぞ!
未来のテレビ界を担うあなたに贈る『あなぐま秘伝』の25エントリ
マスコミ就職の「常識」を丹念に検証する30エントリ
自らの経験を赤裸々に綴った「あなぐま就職自戦記」全31エントリ
面接前のあなたにぜひ読んでほしい15エントリ
スポーツ・バラエティ番組の真実がわかる11エントリ
元記者がニュースの裏側を斬る22エントリ
就職活動や記事に関する質問はこちらからどうぞ。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
【--/--/-- --:--】 | スポンサー広告
tags:

マスコミは無条件に「陽のあたる場所」ではない
この2日、秋葉原の通り魔事件に関して書いた。
(正確に言えば、書かずにはいられなかったのだが)


ところで。


加藤容疑者が携帯サイトに
「夢は殺人をしてワイドショーの主役になること」
みたいなことを書き込んでいたと報じられていた。

・・・どうも誤解をされているようだ。
マスコミ志望者も含めて、敢えてこれだけは知って欲しい。


世の中には幸せな人も不幸せな人もいる。
これは致し方ない。
神様は決して公平だとはいえない。
私だって生い立ちを恨んだこともある。今でも悩みは尽きない。

たとえば家族に見放され、友人にも見放され
社会に適合できず、寂しくつらい思いをしている人がいる。
そんな時、テレビを見ると
「画面の向こう側にいる人たちは、きっと満たされているはず。
マスコミは幸せに満ちた、陽のあたる場所に違いない」

こう錯覚してしまうかもしれない。

私だってそう多くのマスコミ人を知っているわけではないが
仕事に明け暮れ、結婚もできず孤独なディレクターや
ストーカーに悩まされるアナウンサー、
多忙のあまり精神的に病んでしまった記者など、いろんな人がいた。

もちろん人がうらやむ職業ではある。
仕事は刺激的で、いろんな出会いもある。給料も高いかもしれない。
でも決してそこは、無条件に「陽のあたる場所」ではない
「華やかさ」だけでは片付けられない、大きな代償もあることを知って欲しい。

けっきょく画面の向こう側も、こちら側も変わらない。
同じように大変な生活があり、やっぱり誰しも悩みながら生きている。

転職して両方の世界を味わったからこそ、私はそう言える。

とはいえ、一部のマスコミ関係者が
世間からそのように思われているという事実にあまりにも無自覚
で、
時に高圧的、あるいは勘違いした行動を取りがちなのも確かだ。
「本当に自分たちは庶民の代表たり得ているか?」
と常に懐疑し、もっと謙虚な姿勢を持つべきだと思う。

恵まれた生活も結構だし、恵まれない暮らしも結構、
何事も結構という気持が大切だと思います
(松下幸之助の言葉)


「ないもの探し」
自分で自分を不幸と定義づけしてしまう前に
「あるもの探し」
あともう少しの勇気と積極性を持って、毎日を生き抜きましょうよ。
【2008/06/10 20:00】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【体験談】 【ニュース】 【志望動機】

報道って何なんだ?-秋葉原の事件取材をめぐって
やはり昨日の通り魔事件は反響が大きい。

新世代の文化の中心ともいえる秋葉原で起きた事件らしい点は
「ネットと既存報道メディアの差異」
という、本ブログにも関係するテーマでのエントリや議論も多いことだ。

しかし、中にはずいぶん誤解している意見も多いと感じる。
私なりの考えを書いてみたい。


まずUstreamという技術を使って
現場近くから自分でストリーミングをしていた人
の話から。

秋葉原刺殺事件に遭遇して - Recently
http://recently.sakura.ne.jp/wp/?p=41
たしかに最初は面白そうだし、映像のネタになるだろうから。。。というのが配信をした動機だし、配信初めて視聴者が1000人超えた当りでかなり興奮しててただ撮ることに必死でした。

これはかなり楽しんでいたと思います。もしかしたら報道のカメラマンはこういう気持ちになってる人もいるんだろうなぁ~そんな気持ちの中ひたすら撮って、みんなの反応を見ていた。

MacBookのiSightという環境でも事件の様子を伝えられたらしいし。(自分は映してただけなので配信状態がどうだったかとか知らない)それでも、野次馬(一般市民)の人たちが2次的被害にあってないとか、警察・救急の方々の仕事ぶり、犯人の逮捕状況(このときは逃走中)などリアルタイムで伝えることができただろうし、事件を知ってから現場に急行したテレビ局の報道の人達よりは多くの情報を伝えられたと思う。


記者やカメラマンであっても、生まれて初めて事件現場に行った人間であれば
誰しもが高揚するだろうし、我を忘れることだってあるかもしれない。

しかし、1つだけ。
毎日現場に行って仕事をすれば分かることがある。
少なくとも私の知っている限り「興奮するから」「面白いから」
そんな浮ついた理由だけで、このハードな仕事を続けている人はいない。


それは「ただ情報を伝えるだけの人」
「目的を持って、仕事として情報を伝える人」との大きな隔たりだ。



次に、ずいぶん早い時間帯から
未確認情報や現場画像などを含めてバンバン情報を出していたという
GIGAZINE」の報道姿勢に対する意見を取り上げる。

GIGAZINEの事件報道にウェブの明日を思う - novtan別館
http://d.hatena.ne.jp/NOV1975/20080608/p4
ただ、報道のありようというのは変わって行くかも知れない。もはや速報的に現場を記録することは報道カメラの役割ではない。歩く人の大部分がカメラマンの役目を担うことが出来る。Webに掲示することが出来る。そこにないのは「報道としての選別」である。果たして、今見ているものは真実なのだろうか。

メディアによる捏造と、Webによる濡れ衣の可能性。何を信用すればよいのか。現実とフィクションの狭間にあるウェブの世界は現実との接点が増えるにつれ、変貌した姿を見せていく。ウェブによって現実が捻じ曲げられることへ対する怖れはウェブの個人メディア化への否定的な感情に繋がっていく。ウェブで行われるべきものは制限されていく?そんな未来も十分に考えられる。


すでにネットには大量の情報があふれているし、速報性もある。
「伝える側に回りうる人の数」だけで言えば、
限られた一部の人間が情報操作している懸念さえ抱かれている既存メディアより
比較的簡単な操作で誰もが情報発信できるネットメディアのほうが
メジャー感を持っているのでは?とさえ私は感じている。

しかし、情報の信憑性だけでいえば「まだまだ」であろう。
既存メディアの人々は(時に間違ったやり方をしているかもしれないが)
毎日10時間も20時間も情報収集に時間を割き、
多くの人から情報を集めるノウハウにも長けている。

「どちらを信用すればいい?」と恐れるのではなく、
「どちらも上手に使い、自分の信頼できる情報を構築する」
そのためのスキルを私たちが身につける必要がある。

もはや1メディアの1つの情報を得ただけで
「それは100%信じるに足りる情報である」などと確信するのは
時代に合っていない。

それぞれのメディアは自分たちの特性を生かして情報を発信し、
受け取る私たちがそれをしっかりと取捨選択する時代なのだ。



最後にこのエントリを紹介したい。

秋葉原通り魔事件 現場に居合わせた者の主観的記録 - 筆不精者の雑彙
http://bokukoui.exblog.jp/8328490
死んだ人に対し生きている人が出来ることというのは、死んだ人のことを記憶にとどめ忘れない(そして後世に伝える)ことだけであろうと思います。そこでその場に居合わせた者として、そこで自分が見聞きして記憶に残っていることを以下に整理し、事件の記憶をとどめる一助としたく思います。なお、どうしてもこのようなものはマスコミによる報道が「印象」を(その場にいた者にさえ)刻み込んでしまうものですので、小生はまだマスコミ報道に敢えて目を通さず、自分と同行の友人諸氏とが経験したことに基づいて、記録をまとめようと思います。ですので報道と矛盾する部分があるかもしれませんが、ご諒承ください。

(以下、イラスト付きの詳細なメモが続くが中略)

この場に居た人々が、犯人逮捕などの画像をやり取りしていたことへも批判の声が上がっており、確かにその指摘ももっともなところがあるとは思いますが、マスコミの取材の方もひとしきり話を聞くとほぼ全員、「何か画像をお持ちではないですか?」と聞いてきました。しかしそれもまた考えるに、マスコミも視聴者・読者の要望に応える必要性があるゆえのことでしょう。
有体に言って、必死になって逃げている時に振り向いて写真を撮る命知らずは、居るはずが無かったろうとは思います。


できれば全文を読んでいただきたい。
この方が見聞したものが、非常に丁寧に綴られている。素晴らしい。

「死んだ人に対し生きている人が出来ることは、
死んだ人のことを記憶にとどめ忘れない(そして後世に伝える)ことだけ」

という考え方は、おそらくこの数日間続くであろう報道と
それにまつわるさまざまな情報を見る際、ぜひ心に留めてほしい一言
だ。


昨日と同じ結論になるが、
今回の事件で私たちが記憶し、考えるべきは
加藤某という容疑者の生い立ちや評判、言動だけではなく
犠牲になった方々の悲しみ・怒りだけでもなく

「このような事件を2度と起こさないために、
私たちにはいったい何ができるのか?」


その1点である。
【2008/06/09 22:12】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【体験談】 【ニュース】

秋葉原の通り魔殺人から考える「事件報道の意義」
犯人は
「生活に疲れてやった」と供述しているとのこと。

・・・言葉もありません。
被害にあわれた方のご冥福をお祈りします。

サバイバルナイフで次々刺す 5人の死亡確認(asahi.comより)
http://www.asahi.com/national/update/0608/TKY200806080098.html
 8日午後0時30分ごろ、東京都千代田区外神田3丁目の路上で、車が通行人らをはねた後、車から降りてきた男1人が通行人らに刃物で次々に切りつけた。東京消防庁によるとけが人が17人(男性14人、女性3人)おり、警視庁によるとけが人には警察官(53)も含まれる。このうち心肺停止状態の人も5人程度いるという。男の身柄は確保され、万世橋署に連行された。けが人に子どもは含まれていないという。

 男は調べに、加藤智大容疑者(25)と名乗っている。殺人未遂の現行犯で逮捕した。車はレンタカーのトラックと見られ、神田明神通りを西から東に進み、歩行者天国中の中央通りとの交差点で数人をはねた。男が降りてきて、周囲にいた通行人を次々にサバイバルナイフのようなもので刺したという。


ほんの少しでも人の役に立ったり、人の行動を変えたり、
そういう可能性をマスメディアが秘めている
からこそ
犯行の未然防止という意味での犯罪報道が成立するわけで、
このような愚行に走る人間が今後出ないことを願うばかりです。

しかし、メディアの思いとはうらはらに
このような事件はなかなか減りません。残念ながら。

私だって、このブログを読んでいるあなただって
「まさか自分が殺人事件に巻き込まれるはずない」
何の根拠もない安心感をどこかで持ち、
画面の向こうの悲劇を、少なからず客観的に見つめているはずです。

もっと言えば、このような暴挙にいたる人間自身も
赤子として生まれてから終始一貫、凶悪凶暴だったわけでもなく、

いつ、どこでボタンを掛け違えてしまったのか?
自分の傷を癒すがごとく、相手を傷つけてしまうに至るのでしょう。


今後おそらく、報道・情報バラエティ問わず
この加藤某の生活や生い立ち、動機について取材を進め、
数日間はこの話題が加熱することでしょう。


たとえば中学・高校の同級生や近所の人がインタビューを受けたり、
文集やブログ・手紙などに記した言葉が明かされたり、
被害者の怒りの声や現場の騒然ぶりがリフレインされたり・・・。

でも、本当に必要なのは
「この事件の特異性を明らかにすること」ではなく
「二度とこのような事件が起きないための何か」
を考えることです。

つまり「生きる」ことの意味、「命」の尊さ・重さ、そんな当たり前のことを
親子で、家族で、友人同士で、恋人同士で
話し合い続けていくことが大切
だと私は考えます。

メディアはそのための問題提起をすべきであって、
決して加藤容疑者の特異性だけを明らかにするような取材姿勢だけは
取ってほしくないと切に願います。
このような事件取材でこそ、取材側(記者・ディレクター)の本質が問われる
のではないでしょうか?

*** 追記 ***
命を奪われた方が7人に・・・

秋葉原通り魔:死亡7人、負傷11人に…25歳男を逮捕(毎日.jpより)
http://mainichi.jp/select/today/news/20080609k0000m040013000c.html

テーマ:就職活動応援 - ジャンル:就職・お仕事

【2008/06/08 16:35】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【体験談】 【ニュース】

もう止めよう…横並びの「アナウンサーブログ」
地方局のWebサイトにまつわる不祥事。

福島中央テレビ、アナウンサーのブログ記事盗用が発覚し謝罪
http://internet.watch.impress.co.jp/cda/news/2008/05/26/19686.html

夕方ニュースのメインキャスターが
有名ブロガーのエントリをパクってしまいました。
きちんと文章を再校正し、
あたかも「自分の記事」だと見せかける手の入れよう・・・
呆れます。

ぐっちーさんのブログ記事
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/425a1a95d2ce10abf4888abdefff8ea0
Web魚拓に残った盗作記事
http://s02.megalodon.jp/2008-0524-1230-08/www.fct.co.jp/announce/diary/ono-o/

元テレビ局員として、全く持って恥ずかしい限りです。
自分の意見を自分で書くことすらできないような人が
メインキャスターに座っていたんですよね・・・

事情がどうであれ許されることではありません。


この数年、地方局はどこもWebサイトに力を入れ
「アナウンサーブログ」「アナウンサー日記」的コンテンツを
掲載するようになりました。

もちろん自分の日常や思いをしっかりと綴ったものもあるでしょう。
楽しみにしているファンもいることでしょう。

でも、そろそろ止めません?
無理やり横並びで同じコンテンツを並べるのって・・・


かつて私の同僚だったアナウンサーからも
「忙しくて日記どころではない」
「ふだんネタになるような行動ばかり選んでしまう自分に疲れる」
「そもそも何の役に立つのか」

などの声を聞くことがありました。

そもそも、アナウンサーは
画面を通して情報を伝え、メッセージを込めるのが第一の仕事です。
しょうもない副業に時間を浪費するよりも
本業の「読み」の実力をもっと身につけられるよう
意識と時間を使うべき
だと思います。

***************

とここまで書いたところで、元TBSの川田アナウンサーの訃報を知る。
謹んでご冥福をお祈りします。
アナウンサーは良い意味でも悪い意味でも
本当に「大変」な職業だと思います。少なくとも私にはできない・・・

テーマ:就職活動応援 - ジャンル:就職・お仕事

【2008/05/26 19:57】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【ブログ】 【体験談】 【ニュース】

人間と動物の歴然とした「差」?
動物の記事ってあんまり書いたことなかったので、
今ごろになってその「差」に気づく。


パンダ:リンリン死ぬ…展示中止し療養中 上野動物園
http://mainichi.jp/select/today/news/20080430k0000e040023000c.html

 体調を崩していた上野動物園(東京都台東区)のジャイアントパンダ、リンリン(雄、22歳7カ月)が30日未明に死んだ。死因は心不全。(中略)上野動物園によると、リンリンはシャッターを下ろした展示室内で療養していたが、30日朝にお気に入りの場所だったプールに座り込んだまま死んでいるのを出勤した職員が発見。

水難事故:弟救助?8歳姉死亡 河川敷で遊んでいて転落--鹿児島
http://mainichi.jp/seibu/shakai/news/20080430ddp041040012000c.html

 29日午前9時半すぎ、鹿児島県菱刈町川南の川内(せんだい)川で、近くの会社員、荒武和也さん(29)の長女で本城小3年の瑠利さん(8)と弟の同小2年、龍也君(7)がおぼれた。龍也君は救助されたが、瑠利さんは岸から約5メートル、水深約3メートルの所に沈んでいるところを発見され、約5時間後に死亡した

※2本とも毎日インタラクティブの記事より引用

どうやら動物には
「死亡する」
という言葉を使うべきではないようだ。

記者当時のハンドブックや資料を見ても
そんなルールは見当たらないんだけどなぁ・・・。

と思って、ほかのニュースを見ると
動物には「死ぬ」という表現を使っているものと
ふつうに「死亡する」と書いたものが混在していた。
どうやらデスクの好みが出るようだ。
【2008/05/01 19:24】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【体験談】 【ニュース】

いとも簡単に「論点を固定」するのが報道の悪いクセ
神奈川県平塚市で起きたエスカレーターの事故。
「また同じエレベーターで・・・」という見出しで、
印象に残った人も多いのではないでしょうか?
事故で指を切断してしまったお子さんとご家族は確かに可哀相だと思います。
でもこのニュース、私は見た瞬間(!)に違和感を抱きました。


まずは神奈川新聞の記事より、要旨を引用
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryxiiiapr0804201/

 8日午前11時25分ごろ、平塚市のスーパー「西友平塚店」で、同市内に住む1歳4カ月の女児が、エスカレーターの移動式ステップと床の間に左手薬指を挟まれ、第1関節から先を切断するけがを負った。
 調べではエスカレーターは、1階から地下1階に向かう幅約1.3mのスロープ式下りエスカレーター。女児は、地下1階のフロアで、父親(39)が目を離したすきに、エスカレーター前付近までひとりで歩き、前のめりに転倒。移動式ステップとステップ引き込み口のある床の間のくし状になった約6ミリのすき間に指を挟んだらしい。父親がすぐに抱え上げ、近くにいた店員が通報した。女児は母親(28)と3人で買い物に訪れていたという。
 同店では昨年10月にも、同じエスカレーターの上りで、当時小学3年の男児(9)が手すりと壁、危険防止用の保護板の間に首を挟まれ一時、意識不明の重体となる事故が起きている。


いくつかのニュース番組を見ましたが、

◆同じ店で、同じエスカレーターで2回も事故が起きるのは、
教訓を活かしていないから!では・・・?
◆お子さんを持つ方には怖いニュースですよね?
さらなる安全管理の徹底を求めます!


というスタジオのコメントが大半でした。


あなぐまの疑問【1】同じエスカレーターというけれど
2つの事故は明らかに経緯が違います。
なぜ2つを並べる必要があるのでしょうか?

<去年の事故>
エスカレーターに乗っていて身を乗り出す
→保護板と手すり・壁に挟まれる
<今回の事故>
エスカレーターに駆け寄って転倒する
→ステップと引き込み口の継ぎ目に指を挟まれる

例えて言うならば
「道路で車と自転車の接触事故が起きました。
この道路では去年、反対車線でも
車と車の追突事故が起きています」という話をしたとして、
“この道路は危険ですね。管理がまずいのでは?”とか
“道路って危ないですね。お子さんを持つ親は心配です”という話になるのでしょうか?
このあたりは「必要以上に事実の因果関係を求めがち」
な報道の悪癖が影響しています。


あなぐまの疑問【2】そもそもの事故状況
去年の秋、エスカレーターの危険防止保護版や
ステップの継ぎ目などで事故に遭う、というニュースが連続しました。
「エスカレーターの整備不良」「安全呼びかけの不徹底」などを改善すべきだ
という話はその通りだと思いますが、
例えば子供がはしゃいだり、不意な動きをしたり、という状況があって
それを施設管理側が100%防ぎきれるのか?という点は甚だ疑問です。

今回の事故で言えば、
女の子は残念ながらステップと継ぎ目の間に指を挟まれたけれど
そもそも下りエスカレーターの降り口に
小さな女の子が駆け寄ってきて転倒するという状況は
「降りてきた人とぶつかる可能性」というレベルで十分危険な行為です。

両親がそばに居て、エスカレーターのほうに向かってる子供を見て、父親が駆けつけたが間に合わなかったらしい。これはもう、店の責任、と言うより、子供から目を離してしまった、両親の責任のほうが大きい、そういわざるを得んな。
(中略)自戒を込めて、この事故はやっぱり親が悪い。そう言える気がするな。

クルトンパパのいろいろ日記
http://crutonpapa.at.webry.info/200804/article_30.html


視聴者の中にはこういった感覚を抱く良識的な方も多いと思うのですが
某局のインタビュー映像では、

「2回も起きたって(今インタビュアーから)聞くと、確かに怖いですね」

という一般主婦の音声に対して

「2回も起きるのは怖いですね」

というテロップがあてられており、明らかな作為を感じました。


あなぐまの疑問【3】あれ?もしかしてこの店?

どの原稿でも
「事故が起きたのは、1階から地下1階に向かうエスカレーターで・・・
この店では昨年10月にも同じエスカレーターの上りで・・・」
と書かれています。

“もしかしてこのエスカレーターの機構や安全管理には
とんでもない欠陥が眠っているんじゃないか?”


という錯覚を抱いた人も多いのではないでしょうか?

西友のプレスリリースより
 西友初の2フロア型スーパーセンターのパイロット店舗として、2005年4月27日に「西友平塚店(神奈川県平塚市東中原)」をオープンいたします。1階は食料品、地下1階を生活用品と衣料品の売場とし、書籍売場や、ファーストフード5店が入ったフードコート(約280席)を設置、日ごろ便利にお使いいただける品揃え、サービスをご提供します。


調べてみるとやはり。

そもそも「西友平塚店には、1FとB1Fしか存在しない」のです。
(※写真を見ると駐車場には2F、3Fがありそうですが)

お客さまの大半がお店を活用し、恩恵を受けていると仮定します。
フロアに何基エスカレーターがあるかは分かりませんが、
「2フロア型」をウリにしている以上、上下の往来は激しいでしょう。

で、どんな安全管理をすれば効果があって、
かつお客さまにスムーズに買い物をしてもらえるのか?

キャスターはそこまで考えてません。記者も考えてません。
パッと現場に行って
「同じところで去年も起きている!?何てことだ!!」
という話が作りやすかったから、論点を固定しただけなのです。

このあたり、追加報道で少し修正されると良いのですが
昨今は「ここでも同じような事故があったと当局調べで判明した」
みたいなローカルの報道が追随するケースが多いので、
果たしてどうなることやら・・・。

テーマ:就職活動応援 - ジャンル:就職・お仕事

【2008/04/09 22:20】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【体験談】 【ニュース】

NHKがついに禁断の扉を開く!?
この数日間、公私ともにあわただしく
集中してものを考え、文章をしたためることがなかなか難しい。
書きかけの「メディア研究所説」も
細切れになりすぎてうまくかけていない気が・・・
言い訳ばかりで申し訳ありません。

こんな時はつい、他のブログや情報サイトに
ヒントを探し求めてしまうのですが、
ふと見るとこんなニュース!

広告会議ブログより
「NHKオンデマンド」
http://blog.kokokukaigi.com/archives/2008/04/nhk_4.html

12月から、インターネット、アクトビラ、ケーブルテレビ(J:COM)で、「NHKオンデマンド」(有料サービス)がようやく開始されるようです。過去の番組「特選ライブラリー」、1週間以内に放送された番組「見逃し番組」が用意されるとの事


・・・おお、すごそうだ。

リンク先からサービスの概要を紹介。
◆特選ライブラリー
大河ドラマやNHKスペシャルなど他分野の番組を24時間好きなときに見られる。
初年度約1000本。その後、毎週20本(年間1000本)追加する。
◆見逃し番組サービス
NHKの主要時間帯のニュース、プライムタイムの番組を1週間程度公開。
見逃しても大丈夫。(放送終了24時間後から開始)

ほとんどの方はまず「特選ライブラリー」で思い思いの番組を探し、視聴するでしょう。
私だったら「人形劇三国志」もう1回見たいなあ、(つーか何度でも見たい)とか
タモリが出てた「NHKスペシャル驚異の小宇宙・人体」
子供心に面白かったけど、大人になって見返すとまた違うんだろうな、とか。


でもよくよく考えると「見逃し番組サービス」のほうがスゴイことかもしれません!

たとえば1週間分のニュースから特定のネタだけピックアップして
まとめてチェックしたり、1日の中で時系列に眺め直したりすることが可能になる。
これは「ニュースの軸がブレる瞬間」とか「結果として誤報を出していた瞬間」とかを
あとからジックリと検証することも可能になる、のと同義です。

もっと言えば、NHKは
「忙しい皆さんは、私たちの都合に合わせなくていいですよ」とわざわざ伝えているわけで
放送局がでっかいハードディスクレコーダー(しかも勝手に録画してくれる)を
丸抱えしているような状況になります。
いくら有料といっても、民放だったら簡単に「ビジネスモデル崩壊」です。

とはいえ、NHKが余りある予算と時間をかけて作った
珠玉のドキュメンタリーや、トコトンこだわって作ったエンターテイメントなどを
いつでも好きなときに見ることができる状態は
新たな知的刺激をもたらしてくれるでしょう。特に若い層に。

テーマ:就職活動応援 - ジャンル:就職・お仕事

【2008/04/04 23:05】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【ニュース】

Yahoo!動画の野球中継に必要な人員の数はいかほど?
最近ビックリした話を。

パ・リーグ全球団の来期試合を「Yahoo!動画」で配信
http://www.watch.impress.co.jp/av/docs/20080125/gte.htm

 ソフトバンクの100%子会社であるG.T.エンターテインメント株式会社(GTE)は、プロ野球パシフィック・リーグ全球団から2008年度主催試合のインターネット配信権を取得。さらに、パ・リーグ5球団から2009年度のネット配信権と、08、09年度のCS/CATV/IPTVの独占放映権を取得した。
 インターネット配信権を取得した試合は、オープン戦28試合、パ・リーグ公式戦360試合、セ・パ交流戦72試合、パ・クライマックスシリーズ5~8試合。これにより、GTEは、ソフトバンクグループが提供する動画ポータルサイト「Yahoo!動画」や、携帯電話向けの「Yahoo!動画(ベータ版)」などを通じて、パ・リーグ全試合のライブ、ハイライト映像を配信していく。


ちなみに私はスポーツ大好きなので、
「野球中継のディレクター」はものすごく楽しい仕事でした!
(今でもバイトで呼んでくれるならやってもいいかなと思うくらい・・・)
でもアレってすごく大変なんですよ!特に機材と人手がたくさん必要。

キー局が中継すると10台以上のカメラを使いますが、地方局はお金がありません。
いちばん簡素なところでは「4カメ」体制というのが最低ライン。
バックスクリーンとネット裏、1塁側と3塁側に1台ずつカメラを置く。
でもボールを追うのに精一杯で選手の表情などおさえられたものじゃありません。
私がいた局は「6カメ」がスタンダードでした。

さて問題。
6カメ体制に最低限必要な人員の数はどのくらいでしょう?


とりあえずの答え。
<球場内>
1カメ・・・バックスクリーンからホームベースを狙う
2カメ・・・1塁側スタンド上段から、ボールの動きなどを狙う
3カメ・・・3塁側スタンド上段から、ボールの動きなどを狙う
4カメ・・・1塁側スタンド下段から、選手やベンチの動き、表情などを狙う
5カメ・・・3塁側スタンド下段から、選手やベンチの動き、表情などを狙う
6カメ・・・バックネット裏から、ピッチャーや電光掲示板などを押さえる
※試合が始まるとカメラマンは身動きが取れないのでバイト君が何人かフォローにつく
実況アナウンサー・・・言わずもがな、の花形ポジション
解説者・・・アナウンサー1人では進行が単調になりがちなので1人~2人必要
アナD・・・アナウンサーのそばでメモを渡したり、進行を手助けするディレクター

<中継車>
ディレクター・・・試合の流れやデータなどを駆使しながら、中継を演出する
スイッチャー・・・6台のカメラから送られる映像を瞬時に判断し、最高の映像に仕上げる
裏スイッチャー・・・リプレイ専用。表スイッチャーとは違う視点で映像を切り取る。
編集・・・「試合のダイジェスト」や「リプレイ」などを試合中に編集し、すぐにスタンバイ
VTR収録&出し・・・収録の管理&事前に作ったインタビュー映像などを送出する
TD・・・テクニカルディレクターの略。中継技術に関する一切を取り仕切る
音声・・・スタンドの音声で臨場感を出しつつも、実況の声をしっかり届ける
テロッパー・・・スコア、選手名、データなどさまざまなテロップを選び、切り替え
データ入力・・・テロップに反映される試合中のデータなどを入力

てなわけで、6カメ中継には最低でも20人程度のスタッフが必要です。
・・・で、話をYahoo!動画にもどすと、何と「毎日3試合を同時中継」だそうです!

ということは、最低でも1日60人のスタッフが必要で
各地を転戦するのだから、交代要員も含めて倍の人数は欲しいところ。
機材の数も「球場固定カメラ」かと思いきや、地方球場の試合までカバーするらしい。
さらに毎日ダイジェスト映像もあるらしく、編集スタッフもどこかにいるに違いない。

う~ん、いったいどれだけの資本を投下しているのか!?
すげえな Yahoo!動画。

てなわけで、私は時間がある限り、プロ野球を楽しませていただきます。
マスコミ志望者の皆さんは
「何台カメラがあって、何人体制でこの中継やってるんだろう?」
「なぜテレビ局は手を出さないパリーグ中継が、ネットでは成立するんだろう?」

などと考えながら見ると、また違った驚きや発見があるかもしれませんよ。

Yahoo!動画 - パ・リーグ 熱球ライブ!
http://streaming.yahoo.co.jp/special/sports/pacific_league2008/

テーマ:就職活動応援 - ジャンル:就職・お仕事

【2008/03/21 23:25】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【体験談】 【ニュース】 【技術】

続)1ドル100円割れで報道は何ができるのか
4日前のエントリでは、
マスコミはこの事態に対して、「こんな問題が!」「ここも大変だ!」ばかりではなく
「こういうカラクリでこういう背景があるんだから、こういうことを考えなくてはダメだよ」
というストーリーを書いて、啓発・啓蒙に努めるのが責務だ!

という趣旨を書いたのですが
今日はさらに激しい値動きで円高ドル安が加速し、日経平均も急落!
・・・口あんぐりって感じでした。


全テレビ局のエアチェックはできませんが、
ネットで各紙の社説などを斜め読みすると、だいたいこんな趣旨が並んでいます。

●サブプライム問題は深刻で、米国経済への不信がこの事態を招いている
●日本は輸出関連企業の業績に影響が出そうだ。一方で、上昇し続ける原油や小麦などの価格を低下傾向に転換できる見込みが出て、国内消費にはプラス材料でもある
●米国政府は策を講じるべきであるし、日本の政局も日銀総裁後継人事で滞留している場合ではない


再び「ぐっちーさん」のサイトから引用を。

債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら | 試金石
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/c5b5ff65e17d1a336a8fcb57211c4aeb

 前から書いているように今回のドル安に関してはG7によるコントロールは機能しない。外貨準備のトップ10には日本しかおらず、主要保有国はすべてG7以外。12年ぶりといわれますが、当時との違いはこれに尽きるのですよ。
(中略)
 問題は中国(香港、台湾も入れて)、シンガポール、ロシアなどの現在のベスト10メンバーとスクラムが組めるか。これらが動けば今回のドル安は止まる可能性が高い。しかし、「昔の名前」ばかりで出た場合、投機筋は見逃さないと私は思います。ドルを狙い撃ちにしてくる可能性が高いと私はみます。さて、どうなるやら・・・・


あらためて問いたいのは「報道にできることは何か?」ということ。
ちょっと考えを掘り下げてみました。

まずニュースを「良いこと」「悪いこと」という軸で考えてみます。
世の中「こっちからみれば良いことだけど、逆からみれば悪いことだよ」という話題が多く、
一方的に「良いニュース」「悪いニュース」というものは少ないんです。
その中でどちらかへの傾きが強いほど、ニュースの色は付けやすく
特にそれが悪い要素ばかり目立つ話題になれば、比例して声色も強まる傾向にあります。

今回のニュースは、マスコミとしては「悪いニュース」という捉え方が強く
対する世論もそう遠からず、と感じている人が多いでしょう。
ただ「急な値動き=制動できない値動き、何とかして!」という面がフォーカスされがちで
「市場の意図は自然なもので非難できない」という市場経済ゆえのロジックも手伝って
報道の切り口がやや貧弱なものになっています。

たとえば、日本の一般市民が為替取引に積極的に関与しているのであれば
「どうぞパニックにならず、落ち着いて事態を捉えましょう!」とキャンペーンして
ニュースを通じた間接的な緩和策を講ずることが可能になります。
しかし今回の主役は海外のマーケッターたち。日本のニュースはほとんど見ません。

すると別の間接策でこの事態を緩めたいという考えが浮かびます。
こんな背景から「日本政府・アメリカ政府の金融政策への期待感」に言及せざるをえない。
しかし、両者への期待が届いたとしても、その実行動の効力に大いなる懸念があり
どうしても報道の矛先が鈍ってしまう。ぼやけてしまう。
ややもすれば政府批判を繰り返し、全ての原因をそこに帰結させかねないのでは?
・・・私は今回のニュースをこんな風に見ています。

※こう考えると、報道という営みは性質上「政治は期待できるものである」
という価値観を前提にして成立してるのかもしれないな・・・とそんな考えも浮かびますが。


ぐっちーさんのエントリや関連記事を読むにつけ、
もしかするとアプローチすべきは「金融外交」しかもBRICSあたりに対する外交
これは日銀うんぬんもありますが、財務省や外務省の動きが大切なのかな?と。
そういったところにフォーカスして、何か新たな糸口を見い出せるような
「提案型の報道」ができるとよいのだけれどなあ・・・と思うのですが、どうでしょう?

テーマ:就職活動応援 - ジャンル:就職・お仕事

【2008/03/17 21:43】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【ニュース】

1ドル100円割れに報道は何ができるのか
NHKニュース9をリアルタイムに見ながらの更新です。
「12年ぶりの1ドル100円割れ」
というニュースを報じた後、福田首相のコメント・現在のロンドン市場を挟んで
「不動産投資にも・・・思わぬ影響が」
というテーマが放送されています。

みんな円高、円高と言っているけれども、どうやらそれは違うらしい。
私はそこまで為替に詳しくはありませんので
いつも勉強させていただいている「ぐっちーさん」のサイトから引用させていただきます。

債券・株・為替 中年金融マン ぐっちーさんの金持ちまっしぐら | 開き直り
http://blog.goo.ne.jp/kitanotakeshi55/e/9d7a51d5fc4bc98520f3c4fdd07efc29

円高・・・とか報道しているあなた!
ドルに対してだけ・・・と付け加えるのを忘れてはいけません。豪ドル100円っすよ・・・どこが円高なんだろーねー。 実はこれでもまだ円は本格的に売られてない。ドルのポジションが外れれば次に狙われるのは間違いなく円。

だって今、持っている理由が一番無い通貨です。当局の方はわかっていないようですが、ここで売られたら怖いですよ・・・・まさか対ドルだけ見てれば円高だから・・・・なんていわないですよね。ま、言うか。

報道している方になりかわってお詫びします。
すみません。報道の人間は不勉強そのものなんです。なにせその日暮らしなもので・・・。
「単にアメリカが落ち込んで、相対的に日本が上がっている」のだと私も思い込んでました。
ユーロや他の通貨を見れば分かることなんですよね。でもそういう報道は少ないです。

シロウト目に見ても、アメリカは選挙で浮かれている場合じゃないと思うし
日本だって日銀総裁人事でモメている場合じゃないと思います。

特に政府・日銀の経済政策や金融政策が
まったく期待されていないし、実際に効力がなさそうな気がするというのが痛いですね。
福田首相も「市場が決めることですから・・・」としらばっくれるようでは、全く話にならない。


このあたりマスコミ(テレビ・新聞)の報道姿勢が問われます。
とかくテレビのニュースは、「アオリ先行」の取材・編集に力を入れてしまいがちです。

「1ドル100円になった→12年ぶりだ。まあ珍しい!→1日のドキュメント→街の反応は?→12年前はどうだったっけ?→輸出企業は大変だ→不安ですねえ・・・」

みたいな構成、記者ならすぐに思い浮かびますけど
お国の一大事に、ただ危機感をアオるだけでは何もなりませんよ!
「こんな問題もあるんだよ」「ここも大変だ」じゃなくて
「こういうカラクリでこういう背景があるんだから、こういうことを考えなくてはダメだよ」
というストーリーを書いて、啓発・啓蒙に努めるのが報道の責務だ
と私は思うのですが、
皆さんはニュースに期待しますか?期待しませんか?

・・・などと書いているうちに、ニュース9は数分で
中国産のギョーザ問題、新銀行東京の審議遅れ、エンデバードッキング成功
などのニュースに移行してしまいました。ううむ。
報道ステーションは、古館キャスターが危機感煽りまくりのコメントするだけなんだろな・・・。
【2008/03/13 21:30】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【ニュース】

週末ローカルニュースに変革の余地はあるか?
「ずっと変わらないものにはビジネスチャンスがある」
という言葉があります。
であれば、ここには可能性が眠っているかもしれません。

月曜日から金曜日まで、地方局は
昼・夕方を中心に1日1時間~2時間程度、ニュース番組を放映します。
内容も、意欲ある企画取材からグルメに至るまで多岐に渡っています。
特にここ数年、各局とも「夕方ワイド」「生活情報の強化」などに力を入れています。

ところが土日はどうでしょうか?

もし興味があれば、あなたの住む地域のニュース項目をチェックしてください。
そこには
・交通事故や火事が起きました
・催し物が開かれました
・季節の風物詩が見ごろを迎えています
・展覧会が開かれています

こういった項目ばかりが並んでいないでしょうか?

そして注目は放送時間。
平日は1~2時間も割いている内容に、1日あたりせいぜい10分~20分。
これを地方紙に例えれば、ふだん40ページの紙面が8ページくらいに減る勘定です。

何故こんなことが起きるのか?大きな要因は3つです。

1)土日は社員の多くが休みを取らなければならない→週末は3~4クルーで回す
2)平日取材のネタ元を支えている「記者クラブ」も土日は休みである
3)これらの事情からキー局も土日はニュースが少なく、地方局もその編成にならう


・・・何か問題ある?

と言われてしまえばそれまでですが、
平日は「尺が足りない」と10秒でも20秒でも切り詰めて原稿を作るテレビ局が
土日はうって変わって、10秒でも20秒でも「尺を伸ばそう」としてニュースを作る。
この姿勢に現役当時は何の疑いも持っていませんでした。

でもよくよく考えれば、平日も土日も同じ1分1秒。
あんな冗長な土日ニュースをダラダラと放送し続けることに意義はあるのでしょうか?
たとえば、10分のうちデイリーニュース枠を思い切って半分にして
残り5分で、その週イチバンの企画(特集)を再編集・再放送するとか、
1週間のダイジェストを放送するとか・・・工夫の余地はないでしょうか?
(キー局はどこもやっている手法ですよね)

実際にはマンパワーの問題や番組コンセプト・見せ方などに議論の余地はありますが
週末のローカルニュースにはもしかすると
「地域報道の変革」
の可能性が秘められているのかも・・・?と
そんなことをふと思った週末でした。

テーマ:就職活動応援 - ジャンル:就職・お仕事

【2008/03/08 19:12】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【体験談】 【ニュース】

不祥事を糾弾するマスコミが不況を生む・・・のか?
本日は社内で終日「内部監査員」としてのお仕事でした。
私は総務系の部署で働いているので、
いわゆる「コンプライアンス」や「内部統制」のお手伝いをすることがあります。

なぜ企業が法令遵守やCSRに取り組むべきなの?

こういった入門本の1行目には、ほぼ間違いなく
「最近は企業不祥事のニュースがメディアを賑わせ、社会の目が厳しくなって・・・」
といったニュアンスが書かれています。

もちろん私もかつては企業不祥事を糾弾していた立場ですし
「企業が経済的利益ばかりを追及すると、社会をゆがめてしまう可能性がある」
という事は否定しません。
特にこの2~3年、企業の不祥事がニュースのトップを飾る事が増えました。
不正取引、耐震偽装、消費期限の偽装、インサイダーなどテーマは多岐にわたります。

うちの会社はけっこうマジメなメーカーなので
客観的視点で見ると、大して悪いことはしていない業種なんだけど
コンプライアンスやCSRに正面から取り組もうとしています。素晴らしい。

素晴らしい・・・けど、それが「企業としての生産性」を下げているかもしれない
という側面は否定できません。管理職は文書整備やチェックに時間を取られすぎです。
現場でも次から次に「あれを教育しなさい」「この役割を定めなさい」と指令が飛び
戸惑いの声があがってきます。労働時間も増えているでしょう。

メディアの側から考えると、国民の関心事を取り上げるのが第一義なのですが
「不祥事を糾弾する」→「消費者の不信が広がる」→「企業が再発防止に取り組む」
この循環を際限なく繰り返せば、間違いなく物価は上がり、生産性は下がります。
もしメディアが目先の視聴率欲しさに、ニュースの切り口・優先順位を決めつづければ
その先に待つ「コンプライアンス型複合不況」を増幅させることになりかねません。

語弊を恐れずに言えば、アイデアやイノベーションは
既成の概念や常識・制約を打ち破ることから生まれる
のだと思います。
今の物価高は円の価値下落やサブプライム、原油高などが影響してるけど
たとえば今後の日本経済が停滞する理由が「コンプライアンス強化」だとしたら
いったい誰が責任取るんだろう・・・と最近そんなことを思い悩みます。

でも「悪い事は悪い」って言える世の中も大事でしょう、という記者のスタンスもわかるし
う~ん・・・もう少し答えを出すには悩まなきゃダメですね。

テーマ:就職活動応援 - ジャンル:就職・お仕事

【2008/03/03 21:12】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【ニュース】

国民的謝罪要求システム~倖田來未の失言騒動から
ほかでもない「倖田さん」のお話。

発言そのものはやはり非常識で(まあ軽い気持ちだったんでしょうが)
それ自体は非難されることだと思います。
ただ、深夜のラジオ番組で不謹慎な発言が出るのはよくある話で、
私はそれこそ高校生の頃からオールナイトニッポンのリスナーでしたから
「とんねるず」や「ビートたけし」や「ナインティナイン」や
いろんなパーソナリティがハチャメチャな事を言ってきているのを聞いてきました。
でもそれが深夜ラジオの面白さだと理解しているわけで、非難なぞしません。
今の時代はそれさえも許されない。なんとも窮屈で嘆かわしいことです。
彼女のタレントとしての地位やキャラクター云々の問題もありますが、
それ以上に私は「国民的反省要求システム」ともいえる
マスコミ・ネット・視聴者の三位一体型構造がそこに横たわっていることを
非常に危惧しております。特にこの1~2年、けっこうひどい状況です。


<国民的謝罪要求システムの構造>
マスメディア上で有名人が何か問題ある行動を取る
           ↓
ネット上で議論を呼び(個人ブログ、2ちゃんねる等)動画も流れる
時には発言・映像・音声を分析して新しい視点・発見が追加される
           ↓
国民的関心事としてニュースにも取り上げられる
常套句「やはり国民の声を真摯に受け止め、反省・謝罪すべきでは?」
           ↓
記者会見を開き、謝罪(それが罪かどうかは別として)
           ↓
謝罪の様子がニュースに流れる
最近多い切り口「街で聞きました。反省は感じ取れましたか?」
           ↓
しばらく謹慎するも、仕事復帰の際にまたニュースになる
常套句「反省しましたか?謹慎中はどんなことを考えましたか?」


ここ最近、このような話題が多いと思いませんか?
記憶に新しいところでは、こんなところ。
・朝青龍が夏巡業を休んでサッカーをしていた
・亀田選手が反則まがいの行為をした。家族が指示していた
・沢尻エリカが舞台あいさつで不機嫌のあまり悪態をついた
・倖田來未がラジオで偏見に富んだ話をした

もちろんどのトピックも「怒る」人がいるのは理解できます。
でも「本当にその行為は罪ですか?誰かの身体・生命・財産が失われましたか?」
と問うと、話題性の大きさに比べて、その非業度はかなり小さいと思います。
しかしネットの影響力が増し、ブログやYouTubeなどの情報発信ツールが充実したので
あるトピックが24時間、その話題性と非難の声を増幅させ続けながら転がり続け
いつしか飽和・爆発していく・・・そんな仕組みが整いつつあります。

ニュース・情報バラエティには「放送時間」という制限があります。
限られた時間の中で、どのトピックに焦点を当て放送するかが大切であり、
国民に必要な情報を厳選して届けるのがメディアの責務です。
ところが最近は関心事にばかり時間を割く傾向が強すぎる。そこには、
「制作側のネタ選びにおけるネットの影響度」もまた増大していることが背景にあります。

そして何より危ういのは
「街で聞きました。○○の謝罪会見をどう感じましたか?
結果は84%が“反省が感じられなかった”という答えでした」
という編集。
「罪ではなくても世論が許さなければ反省して謝罪すべき」なのは認めるとしても、
謝罪会見を一般人に「あれは本当の謝罪ではない」などと論評させ、
その声を生のままメディアが報ずるのは、制作側の「手抜き」だとしか言えません。

このような“基準なき世論の垂れ流し”
「このニュースをどう捉えるべきか」という視聴者側の思考を停止させ、
単なる「ザマミロ」ですべてを終わらせてしまう可能性をはらんでいるからです。
国民的謝罪要求システムは、マスメディアを世間の憂さ晴らしに使うあまり、
本来の趣旨であるbroadcastingすべき(広く投げかけるべき)情報は何か?
という価値観を歪めてしまう、非常に危険なものだと考えています。
※サッカーのスターシステムになぞらえて名づけてみました。
「ワイドショー型複合不況」という言葉で問題提起している人もいますね。

ニュースと情報バラエティは別だよ、という声もあるかも知れませんが
「視聴者はニュースを情報バラエティの体裁で伝えた方が見てくれるんでしょ?」
と放送局側は思い込んでしまっています。
であれば、せめて情報バラエティが健全な世論形成の一翼を担って欲しいと
あなぐまは真剣に危惧しているのです。
だっておかしくないですか?(形はどうであれ)涙を流して謝っている人を見て
「あれは謝罪してない」と平気で言えてしまう世論・・・どんだけ冷酷なんだよ。
【2008/02/08 21:28】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【ニュース】

「安さ」より大切なもの~中国産ギョーザ問題
中国産の冷凍ギョーザ問題が連日メディアを賑わせています。
けさもニュースで
「市民100人に聞きました。中国産の冷凍食品や野菜を今後買いたいですか?」
というアンケートをやっていました。

答えは9割が「買いたくない」

まあ「そりゃそうだ」という結果です。
誰だって好んで毒物を食したくはないでしょう。
でも、よくよく考えると引っかかるところがあるのです。
「安さ」と「品質」の二律背反についてです。

(当たり前の話ですが)
冷凍食品なんて太古の昔には存在しませんでした。
でも技術が進んで、食品を長く保存できる&美味しく食べられるようになったので、
冷凍食品が市場にずいぶんと普及するようになったわけです。
便利だし手間も省けるし「お弁当にもう1品」というニーズにもぴったりだし・・・
でも当初は結構高価だったはずです。なにせ普通の食品より手間がかかりますから。
「それでもいいや」と初めは思っていた消費者も、だんだんとエスカレートします。

「もっと安く!」「もっと種類豊富に!」「もっと美味しく!」「もっと綺麗に!」

メーカーはこのわがままともいえるニーズを満たすべく、
生産拠点を海外へとシフトしていったはずなのです。
海外は人件費も原材料も安いけど、当然日本とは技術もモラルも価値観も違います。
そんな中「冷凍食品に海外産が多い」というのは既知の事実だったわけで、
ある程度のリスクが存在するのは、皆さんうすうす感じていたのではないか?

そのあたりがどうも、あなぐま的に引っかかってしまうのです。

故意であれ過失であれ、食品に劇物が入っていて被害者が出た事実は許しがたい。
これは当然の話です。そのための管理体制をきっちりする。それも良いでしょう。
ただ「安さ」と「品質」という二律背反的な要求を満たしてゆこうとするからこそ
ずさんなメーカーが「偽装」や「製造ミス」を犯してしまうのもまた事実なのです。

たとえば「再生紙100%」とか「高級食品をリーズナブルに!」とか
そういうキャッチコピーは、単なる“幻想 ”にすぎなかったわけですよね。

「良いものを作るには手間がかかる。希少性が高ければ需給バランスで高価になる。
だから“良いもの”は、安価には手に入れられない」


こういう当たり前の法則が消費加熱的な現代社会では忘れられているのではないか?
とそんなことを最近感じます。
100円ショップの品質に文句をつける人がいるとか、スーパーの見切り品を食べて
お腹を壊したとクレームをつける人がいるとか、そういうのは少し違うのでは?・・・と。
じゃあ、消費者はどうすればいいのか?
「良いものには正当な対価を支払うか」「リスクを許容して行動するか」
2つしかないのかなと思います。

たとえば食事。
安価な外食・ファーストフードを食べる人はリスクがあることを承知していて
それが嫌なら、自分で料理を作るのが一番安心できるはずです。
でも原材料に安価な外国産の野菜を使えば、何がしかのリスクはあるので
国内産の野菜を買うほうがより安心できるのかもしれない。
「国内産でも大量生産は安心できないわ」と思うのなら
地元のおじいちゃんがほそぼそ作る「形は悪いけどきちんと作った野菜」を買う。

つまり「リスクをどこまでとるのか」「安さ・効率の良さをどこまで求めるのか」を考えて
「メーカーや生産者に“責任ある製造”を求める」のならば、それと同じくらい
「買う方も意識を高く持って、安さだけではない何かを求めましょうよ!」

中国産ギョーザのニュースを見るたびに、あなぐまは痛感するのですが・・・
皆さんはどう感じますか?
【2008/02/04 21:57】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【ニュース】

スポーツ中継における「演出意図」~大阪国際女子マラソン
ニュースではなく「スポーツ中継」ですが、気になったもので・・・。
本日の大阪国際女子マラソン。ご覧になった方も多いと思います。
マラソン初挑戦の福士加代子選手が前半ハイペースで飛ばしたものの、
最後はバテバテになり「ゴールするのがやっと」という状況を余すところなく伝えていました。

スポーツ中継に演出意図(作為)がある、というのは周知の事実であり、
その是非について議論しようというわけではありません。

実はあなぐまもスポーツ中継のディレクターを何度か務めたことがあるのですが、
思い当たるフシがあるのです。

「スポーツは演出側の意図せざる結果になることが往々にしてある。
その時、演出者(ディレクター)はどうすべきか」
という問題です。

そもそも、演出意図とは何か?
私は野球などスポーツ中継のディレクター経験が何度があるので、その例をお話します。

スポーツ中継の魅力は「何が起こるかわからないところ」なのですが、
番組としては「この試合のポイントはここです!」という“見立て”をしておけば
観る側がより試合の魅力を理解でき、感情移入しやすくなる傾向があります。

たとえば野球の試合で、試合前の両チームのデータ(実績)から
「Aチームの速球ピッチャー 対 Bチームの強力打線」という見立てをしたとします。
すると、「A投手の個性や魅力を調べ、事前インタビューをして紹介VTRを作る」
「一方でB打線の凄さが分かるような過去VTRの編集版も事前に用意しておく」
「両者の過去の対戦成績をピックアップし、アナウンサーに渡しておく(テロップも作成)」
などの準備をしておけば、よりエキサイティングな中継ができるだろうと考えます。
これが私のいう「演出意図」です。
※もちろんこのケースではA・Bチームの「攻守交替時」の争点も裏テーマとなります。

特にここ数年、スポーツ中継時に「サイドスーパー」が出るのが当たり前になり
(右上などに短い文章のテロップが出続ける=例えば“福士が日本記録ペースで快走!”)
途中から中継を見始めた人にも、演出側の意図を常に表明する仕組みになっています。
ところがスポーツは当日の体調や試合の流れ、偶然性などから思わぬ結果が出ます。

例えば野球であれば、序盤早々にA投手が調子悪く打ち込まれ、交代してしまう・・・
すると「残りの中継時間どんなトーンで番組を進行させていくか」がわりに難しいのです。
あなぐもスポーツ中継大好きで(どちらかというとデータ派)、ディレクターを務めた時は
見立てをあれこれと一生懸命考えたのですが、結果として全く違う展開になってしまい
カメラマンさんから「おいおい・・・全然じゃないか!」と突っ込まれることしばしばでした。

思い入れが強ければ強いほど、事前VTRの時間も長い。用意した原稿もたくさんある。
打ち込まれたピッチャーの映像リプレイや事後コメントもつい出したくなるでしょう。
しかし試合はどんどん進みます。状況もどんどん変わってゆくでしょう。
視聴者からすれば「今さらその話を蒸し返すなよ。それより今のプレーを見せてくれ!」
と感じる場面で、何度も振り返りのコメントや映像が繰り返されてしまう現象は、
ディレクターやアナウンサーがどうしても「演出意図」を引きずり続けることに起因します。
この「引き際」と「切り替え」はとても難しいのです。

特に番組としての完成度を求めれば求めるほど、アクシデントには弱くなってしまいます。

きょうの大阪国際女子マラソンは「見立てが外れた」典型でした。
演出側が徹頭徹尾、注目選手として推してきた福士選手が、30キロ過ぎで失速。
番組としては40分以上残した段階で「演出意図」を修正するのかどうかを迫られました。
あなぐまがディレクターなら、背中に冷や汗が出るかもしれません。
関西テレビの結論は最後まで「福士メイン」を貫くことだったようです。
ただ、優勝したマーラ・ヤマウチ選手がほとんど紹介されることなく番組は進行し、
挙句、ゴール直後の森本選手(2位)をスタジオに呼んで「福士選手どうですか?」などと
本人とは全く関係のない質問ばかりをしてしまったシーンには、賛否両論あると思います。

そして最後は福士選手が何度も転びながらゴール。“感動”をあおるコメントを繰り返し、
スタンドに向かって笑顔で手を振る福士選手の映像をエンディングに使いました。

演出意図は、ピッタリはまれば「会心の演出」になるのですが
そうなるかどうかは運次第みたいなところもあり、見立てが外れたことは責められません。
ただ1つだけ苦言を呈すると
「福士選手は長距離練習をしていない」という情報をディレクターも知っていたはずです。
その中で「福士が失速した場合は・・・」という場面想定を全くしていなかったのでしょうか?

もしそれも想定した上で「失速した場合は完走するかどうかを争点に切り替える」などと
演出側が計算していたのだとしたら、もはやそれはスポーツ中継ではありません。
精一杯走っている他の選手に失礼だと思います。
私がディレクターなら、その可能性も事前に考えて演出プランを組むはずですが・・・。
【2008/01/27 20:55】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【体験談】 【ニュース】

視聴率・インパクト至上主義?の苦悩
NHKのインサイダー問題の時にも書きましたが、
このブログが「マスコミ志望者を応援する」のは良いとして、
ただやみくもに「みんな頑張れ~!内定めざせ~!」というわけにはいかない
メディアの現状がありますよね。特にメディアに対する世間の声が気になります。


たとえばこちらのブログ記事を紹介します。(トラックバックさせていただきます)
マスコミ志望者の方もそうでない方もぜひお読み下さい。

人に愛を与えなさい~ケアンズからの手紙
http://blogs.yahoo.co.jp/the_southern_cross1974/51619715.html

面白おかしく強烈に人の注意をひきつけるものばっかりが表に出てきて
人の真摯な心意気に敬意を表したり心温まるような話があまり出てこない。
(中略)これからの日本の未来を背負っていく若い人たちの一部が
こういう次元の仕事をしているというのは悲しい限りである。


・・・マスコミ志望者の方、どう感じますか?

仮に「インパクト優先・視聴率至上主義のジャーナリズム」という言葉があるならば
ローカル局はまさにこの考え方が浸透し、変遷している最中にあったと感じます。
私が入社した頃は、ローカル局は視聴率チェックこそしてましたが
「ああ、上がったな」「うう、下がったな」のよもやま話レベルでした。

しかし退職する頃になると、自社のニュース番組では「毎分視聴率」をグラフ化して
「あなぐま!お前の特集は中身はともかく、CM前のつかみが弱すぎるんだよ!
見てみろ、CM前で視聴率ガタ落ちだぞ!映像は“見てもらってナンボ”だろ?
今回は他社に平均視聴率で負けたぞ!」
と上司に責められるのが日常茶飯事でした。
そして、インパクトを狙った文章・映像・テロップの組み合わせを用いると、
(百発百中ではないですが)実際に視聴率が良くなるんです。これが間違いのもと。

私も現役当時「自分は視聴者の視点を大事にする!」と真剣に考えてました。
ところが転職して、普通のサラリーマンになってから冷静にニュースを見ると
「決して当時の自分が視聴者目線を持っているわけではなかった」と感じます。
映像の順序、文章表現のお約束、テロップの出し方、原稿の切り口など、
どれをとっても「視聴者には大差ないこだわり」ばかり重んじていたのです。
「会社の常識、世間の非常識」的なものは、多かれ少なかれどの業界にもありますが
マスコミ(テレビ局)の作り出すものは、今も昔も世間の注目を集めます。
常に自己を厳しく律し、社会とのギャップを問い続ける姿勢が大切だと今は感じます。


ただ、ものづくりに携わっている方は分かるかもしれませんが、
限られたコストと時間の中でたどりつける複数の選択肢があったとして、
「じゃあどれを選ぶ?」という時「これが正解だ!」と決めるのは
究極的には個人の好みだったりします。
信念、ポリシーなどと言い換えればカッコイイですが、やっぱり好みです。
その点において「視聴率」という数字が、紙媒体であれば売上部数が、
ものづくりのよりどころとして非常に使いやすい指標なのは事実です。

前日の視聴率表をもとに、デスクは考えます。
「そうか、視聴者はこれを見たいのか!じゃあ、今日もこの話題を追いかけよう!」
(ただ視聴率・売上部数という数字そのものも、信頼性は薄いのですが・・・)

「なぜこんなつまらない番組を・・・!」という言説には
「じゃあ見なければいいじゃないですか!多くの人が見たいものを提供するのが
我々メディアの役割であり、ビジネスでもあるのです。何か問題でも・・・?」

という反論が常につきまとってしまいます。
私も含めた視聴者全体のレベルアップも、マスコミの浄化には不可欠だと思うのです。
ところが、どこかで国民は朝青龍を見て「したり顔」になったり、
公務員や企業・著名人の行動をひたすら揚げ足取り→バッシングしたり、
「お馬鹿タレント」を笑いたかったりするわけです。実際、視聴率は高いわけです。
そのモードをたとえば糸井重里さんは、
「国民が皆どこか不機嫌な時代」とおっしゃったりしてますが、私も同意見で
皆がテレビに求めているであろう「ストレス解消的な要素」を
うまく別の形で昇華できないものかな・・・とそんなことを思い悩んでいます。
【2008/01/22 22:12】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(1) | コメント(0) 
tags:【体験談】 【ニュース】

インタビューの必要性~センター試験の編集から
本日から大学入試センター試験。
受験生の皆様、お疲れ様です。
ところでお昼の全国ニュースを何気なく見ていたら、ちょっと驚くシーンが・・・。

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

(スタジオ)大学入試センター試験が始まりました。

VTRスタート

(受験生インタビュー)
「今までやってきたことを精一杯だして・・・」
「緊張しています・・・」(いまにも泣き出しそうな声)

(原稿読み)
センター試験は、全国736の会場で午前9時半から一斉に始まりました。
会場では緊張の面持ちで受験生たちが・・・(以下つづく)

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

さて、どこに驚いたのでしょうか?


答えは「女子高生のインタビュー」です。
しゃべっているうちに緊張感と思いがこみ上げてきて、いまにも泣き出しそうな彼女。
VTRでは、まわりの友達に「大丈夫だって!」と励まされるシーンまでフォローしていて
第1印象は「ずいぶん緊張する人もいるんだな」などと感じました。

・・・しばらくたってからです。
ふと心配になりました。

「彼女はあの後、冷静さを取り戻すことができたんだろうか?
本来の力を出すことができたんだろうか?」


そして自分の現役時代を思い出したのです。
センター試験の取材方法は、かなり「定型」です。
指定された大学に指定時間に行くと、取材対応してくださる大学の職員さんがいます。
彼の誘導で、指定された会場にそーっと行き、指定された時間(5~10分くらい)
問題用紙を配る様子や、受験生の肩越しの映像、鉛筆のアップ画などを撮ります。
時間が来たら退出。
あとは社に戻って、受験生数・交通情報などを確認しながら原稿を仕上げます。

ただし、これだけでは映像が足りません。
そこで少し早めに大学に行き、受験生が寒そうに会場へ向かう映像をおさえます。
おそらく冒頭のインタビューはこの時撮影したものだと思います。
しかし、現役当時の私は1度も受験生へのインタビューをしたことがありません。
「してはいけない」と教わったわけではなく「インタビューをしづらい雰囲気」だったからです。

一般の人はカメラを向けられるとものすごく緊張します。
街頭インタビューを1人撮ろうと思ったら、5人は断られる覚悟が必要なくらいです。
まして一生を決める(と少なくとも本人は思っているであろう)大学受験前に
インタビューをされて冷静さを取り戻すことができる受験生がいるでしょうか?
もし、彼・彼女が力を出せなかったら、記者は責任を取れますか?


もちろんインタビューを受けるのは自己責任です。
でも同じ自己責任なら、素朴な疑問として
「このニュースにそもそもインタビューは必要か?」
と、そんなことを思った土曜日の午後なのでした。
【2008/01/19 18:56】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【体験談】 【ニュース】

元同業者でも恥を覚えます~NHKインサイダー問題
NHK職員によるインサイダー取引のニュース。

元同業者とはいえ、まったく恥ずかしい限りです。
世間より早く新しい情報を得るのはこの職業の宿命で、それを私利私欲に用いるとは・・・。
「マスコミ人としての矜持」などというものを求めるのは、もはや時代遅れになのでしょうか?

ニュースにスクープは必要か?
http://d.hatena.ne.jp/HALTAN/20080118/p2

これはマスコミ全体の問題だ!
http://blogs.yahoo.co.jp/eschete99/30853843.html

この件に関するエントリを検索するとたくさんの記事がありました。
中でも怒りが強く感じられた2つのブログ記事を紹介。
ご意見はごもっともだと思います。

ちなみに「ニュースにスクープは必要か?」というテーマは、
キー局で人員が豊富にいて、抜きつ抜かれつの勝負を繰り広げている方々の世界の話で
地方局の人員不足の中で枠を埋めるのに精一杯だった私の経験では何とも言えません。
私は「日々の取材をいかにこなし、限られた時間の中でいかに分かりやすく説明するか」
だけに腐心していた、ジャーナリストとは程遠い職業記者”のような働き方でしたから。


このブログはマスコミへの就職を志す方を応援しています。
皆さんにあらためて考えていただきたいのは、
「テレビ局」というのは運営主体が公共であれ民間であれ、
モラルやコンプライアンスに対する世間の目が非常に厳しいということ。
記事の中で公務員や企業の不祥事に対して厳しい姿勢を取るからには、
「自分の行動に1点の曇りもあってはいけない」と肝に銘じるべきです。

たしかに私が見てきたテレビ局員の中には
非常識というか、浮世離れした人(よく言えばユニークな人)も多い。
たとえば駐車違反、スピード違反、ギャンブル、接待など
一般の社会人なら「つい」という部分で脇が甘いと、とんでもない事になります。
現役の方がもしこのブログを読んだら、もう1度自分の行動を見つめ直して下さい。
(こんなこと、わざわざ書かなくても当たり前の話ですが・・・)

ちなみにYahoo!ブログ検索で「マスコミ」と検索したところ
ほとんどが「マスコミを非難する記事」ばかりです。
まったく寂しいことです。
【2008/01/18 22:50】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(1) | コメント(0) 
tags:【ニュース】

4分40秒は異常だ!と思う。~NHKニュースより
皆さんはこのニュース、どのように感じますか?

それはお昼時の話。あなぐまはいつも通り食堂でランチです。
ところが今日は「ええ?!?!」と眼を疑いたくなるようなニュースが放送されていました。
お昼のNHK。宮中で行われた「歌会始」のニュースです。
制作者に言いたい。「4分40秒は異常ではないか?」と。

ちなみにニュース映像はここから見られます。
NHKニュース「お題は“火” 皇居で歌会始」
興味のある方はぜひ、映像を最後まで見てから読んでいただけると幸いです。

一定期間が経ったため、リンク切れしたようです。(1/25追記)



歌会始そのものは、風物詩でもありますしニュース性も大きいでしょう。
もし私が記者なら「仕組み」「今年のテーマ」「入選者の属性」「会場の様子」など
いくつかの要素を入れて原稿を構成した上で
「伝統ある発声と節回しで歌を詠み上げました」というところに
実際の音声を聞かせる場面を入れるでしょう。
(現場では“音生かし”とか“ON”などと呼ぶ、日常的な手法です)

おそらくデスクからはニュース尺について「音生かし短めでリード込み1分半
程度のリクエストが出されるのではないかと思います。
ニュース性を重視して長くするなら「音生かし長めで2分以内」ってところでしょうか?
ちなみにリードとは、ニュースの導入時にスタジオで読むアナウンサーの原稿です。
ニュース尺とは文字通り「長さ」で、私のいた局は1分20秒がデフォルトでした。

ところがこのNHKニュースは、ものすごく長かった。
家に帰ってからネットで見返してみると、何と4分40秒!!
昼ニュースは全体で15分なのに・・・異常です!

特に終盤の構成は違和感ありまくりです。こんな感じです。

アナ「皇后さまは・・・と詠まれました」
(1首 まるまる音生かし 約1分10秒!)
アナ「続いて天皇陛下の・・・という歌が詠み上げられました」
(1首 まるまる音生かし 約1分10秒!)
アナ「この歌は・・・という様子を詠まれたものです。来年の歌会始は・・・」END

違和感①:この歌詠みは「1節詠んでは数秒空白」というゆったりした間合いが特徴。
その味わい、ゆったり感(優雅さ?伝統美?)を伝えたい意図は分かりますが
無音状態が6~7秒あるところも多い。一瞬「放送事故か?」と疑いたくなるくらいです。
それを「5節すべて&2首あわせて1分以上も」生かす理由は何なのでしょうか?

違和感②:音生かしのシーンで、映像は静止画でした。数十秒もずうっと同じ画面。
写真の上に白文字(しかも読みづらい流ちょうな書体)で歌詞が書かれているだけ。
「雰囲気を伝えたい」というのなら詠み人の動く映像なり、聞く人の様子なり
見せるべき情報はもっとあったのではないでしょうか?
(映像に限りがあるのだとしたら、そもそも長いニュースにする必要はないはず)

もし私なら、音生かしは「長くても2節・20秒程度」で、かつ
「歌詞テロップは映像の上に出しっぱなしにして何カットか編集する」でしょう。
なぜ私がこんなことにこだわるのか?というと(職業病なのかもしれませんが)
①ニュース尺は記者/デスクが最も気にする要素のはず。何故こんな冗長な編集を?
②5分近くも使って視聴者にいったい何を伝えたかったのか、全く理解しがたい

この2つの違和感を覚えてしまうのです。
NHKのデスクと記者に問いたい。

昼ニュースの3分の1を割くほどの大ニュースですか?
世の中に伝えるべき情報は、他にまったくないのですか?


食堂では、まわりの方が「朗々とした声と数秒の沈黙の繰り返し」に
“何だろう?”と注意をひきつけられていたのは確かです。
しかしそれが「歌会始の独特の雰囲気にひきつけられた」のか
「テレビではあまりない空白の連続に違和感を覚えて画面を見た」のかは不明です。
よしんば「優雅さ」みたいなものが伝わったとしても、それは最初の2~3節だけでしょう。
皆さんはこの動画ニュースを見て、どう感じますか?

※あと「宮中行事」だから仕方ないのですが、私が2首を生かしで紹介するのなら
「天皇・皇后両陛下」というチョイスではなく
「皇室から1首+一般入選者から1首(中学生orサンパウロ在住の方)」とするのにな・・・。
まあ、こんな考え方だからNHKに縁がなかったのかも知れませんが。(笑)
【2008/01/16 21:39】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【ニュース】

就職活動に親が同伴!?~NHKの企画取材より
あなぐまです。
3連休をいただきまして、のんびりしておりました。
久しぶりにピアノを弾いたり、ビデオに撮り貯めしている将棋を見たり・・・

さきほどNHKニュースを見ていましたら、「変わりゆく就職活動」という特集テーマで
1年生の頃から熱心に就職指導をする大学と
子供の就職活動に積極的に関わる親、という2つの話題を紹介していました。
中でも私が驚いたのは、合同説明会に親子で一緒に訪問しているシーンでした。


私はド田舎だったので、高校から1人暮らし。
よって親には就職活動の相談は一切していないのですが、
親元で一緒に住んでいれば
「どうなの、就職活動は?」とか「相談に乗ろうか?」とか
そんな話題があるのは当然といえば当然でしょう。
中には会社に福利厚生などの質問電話をする親御さんもいるとか。(・・・ほお)

ただ私が気になったのは、インタビューされた学生さんが
「合同説明会に1人で来ると、あまり積極的に動けないけれど
親と一緒に来ると、“行け行け”と背中を押してくれるので・・・」

と答えていたところでした。
さらに自宅では、お母さんと一緒に企業のパンフレットを広げて
「どう?この業種が良いと思うんだけど・・・」などと親に薦められる始末。

もちろん親子の絆は大事ですが、私の美徳には反します。
「就職活動は結婚である!」というのが私の持論だからです。

自分が理想に描く将来があって、そのためにパートナーを探す。
相手に求める要素は、容姿、家柄、人間性、同じ夢、趣味の一致などさまざまでしょう。
相手が自分に求める「理想像」も当然あるでしょう。
そして、就職活動の場を通して双方がであう。面接などの試験を通してお互いを探る。
みごと互いの求めるものが一致すれば最高!ですよね。

それに対して、親の意見やコネで就職するのは、お見合い結婚のようなものでしょうか?
「お見合い結婚が必ず不幸せだ」とは申しません。
ただ私は「自分の幸せを自力で探そうとしない姿勢」がどうも好きになれません。
たとえばインタビューの女性が、親の薦めどおり会社選びをしたとして
本当に、会社へ価値ある意見や行動を提供できるのだろうか?
あるいは逆にツライ場面に出くわしたら「あの時薦めた親がいけないんだ」と責任転嫁する
のではないだろうか?・・・心配になってしまいます。
皆さんはどう感じますか?

テーマ:就職活動応援 - ジャンル:就職・お仕事

【2008/01/14 22:36】 | 元記者のニュース解説 | トラックバック(0) | コメント(0) 
tags:【ニュース】

前ページ | ホーム |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。